ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は2022年春夏コレクションを発表した。
ジョン ローレンス サリバンの2022年春夏コレクションのテーマは“MAD MUD”。映画『アメリカン・サイコ』に登場するサイコキラーが纏うスーツスタイル、コンゴ出身のアーティストであるオリヴィエ・デ・サガザンのパフォーマンスアートに登場する“スーツと泥の融合”などから着想を得たピースを展開する。
コレクション内には“狂気”から昇華したようなユニークなディテールがあらゆる部分に散りばめられた。例えば、ブランドを象徴するテーラードピースからは、ウエスト以下を切り落としたようなクロップドジャケットや、両サイドを抉り取ったようなコートなどが登場。大胆奇抜な構築が、トラディショナルなテーラードスタイルを斬新な印象へと変化させる。
サイドポケットが中央に移動し、前身頃全体が横にスライドしてしまったかのようなジャケットやバイカージャケットもアイコニックなピース。武骨で形式的なアイテムにある種の“狂気”を反映させた、今季を代表するアイテムの例だ。
また、目を惹くのが直線的なラインと平面的なシルエットで構築されたベストやコート。それらのアイテムのサイドにはジップを配置しており、風を孕むとまるで聳え立つ壁の様に無機質で真っ直ぐなフォルムがダイナミックにたなびく。
大胆なディテールと共にコレクションにアクセントを加えるのが、レッドカラーを取り入れたコートたち。光沢感のある生地感と鮮烈なレッドを組み合わせることでインパクトのあるルックスを生み出した比翼仕立てのコートはランウェイにおいて一際強い存在感を放った。
ジョン ローレンス サリバンと長年コラボレートを続けるデザインデュオ“Ahonen&Lamberg”が手掛けた総柄グラフィックでもレッドの差し色が効いている。シーズンテーマの“MAD MUD”を抽象的に表現したというグラフィックはイリューシヴで不思議な魅力を生み出している。
また、今季のランウェイショーにおいて服たちと合わせて注目を浴びたのが、混沌とした人間性を表現したヘアメイクやヘッドピース。泥まみれになったような質感のヘア、毛細血管のような物質が絡まり合った複雑なヘッドピースが今季の世界観をより鮮明に表現する重要な要素となっていた。なお、本ヘアメイク&ヘッドピースは、ウィッグメーカーとしても活躍するTomihiro KonoとメイクアップアーティストのYuui Visionが担当した。