芸術の秋。メゾンのデザイナー達もアートから大いにインスピレーションを受けた、今季2013‐14秋冬コレクション。芸術家たちへのオマージュと共に、オリジナリティを加えて最旬ファッションへと昇華させたルックがランウェイを彩った。

非日常的なコレクションに夢を見るのもいいけど、やっぱり実際に街に着ていけるアイテムが気になる！ということで、華やかで少しトリッキーだけど実際に着ている姿も想像できる。そんなルックをファッションプレスでは厳選。毎日の装いに変化をつけたい、さりげなく一歩先を行くおしゃれがしたい。そんな人にはぜひとも参考にしてみて。

ダークトーンのツイードとレザーの組み合わせがシックで都会的シャネル(CHANEL)。肩部分を覆うフェザーは、ケープのトロンプルイユだ。羽一本一本が繊細さを帯びており、こうしたユニークなアプローチの中にもメゾンの持つラグジュアリーな品の良さが伺える。球体のチェーンバッグがまた、モダンな遊び心を与える。

ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)でも、ウィットの効いたトロンプルイユのグローブを発見。

指先の赤がネイルポリッシュを塗っているかのようで、オールブラックのスタイリングに少しだけフェティッシュな味付けをしている。モード＆クールな装いの中にも、ちょっとした遊び心をプラスして、お洒落を楽しむ余裕を感じさせたい。

シュールレアリズムからのインスピレーションが込めれ、アンディ・ウォーホル美術財団がショーステージのクリエイションを支援したという、まさにアートが主役ディオール(Dior)のコレクション。

ウォーホルの絵画からアイデアを得た、靴や女性のモチーフは、それが最大限に引き立つ、究極にシンプルなブラックのストラップレスドレスにペイント。デザイナーラフ シモンズ(RAF SIMONS)が抱く、ポップアートの巨匠への敬愛の念が伝わってくる一枚だ。

カラフルな導線の様な刺繍が抽象的な画を描くチュールトップスは、なんともアーティスティックなメゾン マルジェラ(Maison Margiela)の1枚。下に仕込んだのはプレーンなシャツで、程よく遊びとのバランスを取る。

一見スポーティーなパンツのサイドラインは、ペンキでさっと一塗りしたかのように。
※メゾン マルタン マルジェラ 2013-14秋冬コレクションはこちら

フェルメール、レンブラントなど17世紀オランダ美術を代表する画家の作品よりインスピレーションを得ヴァレンティノ(VALENTINO)。希少性の高い鉱石、「ラピスラズリ」を原材料とした鮮やかな青は、「フェルメール・ブルー」と呼ばれ、フェルメールが最も愛した色。時代を超えて、リッチで高潔な雰囲気を演出してくれる素敵なカラーだ。襟などのポイント使いされた白は、フェルメールに特徴的な穏やかな「光」を思わせる。モデルのように、陶器のような肌とレトロなヘアスタイルで絵画の中の少女を気取るのも楽しい。

靴もよく見るとＴ字ストラップ風のトロンプルイユ。

レトロな壁紙のような雰囲気のシノワズリ柄(ヨーロッパで流行した中国趣味の美術様式)がお目見えドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)。光沢を持ったオリエンタルなセットアップを、ブラックジャケットとオックスフォードシューズ、それに今季の人気アイテムであるクラブストライプと組み合わせてカジュアルダウンするのも新しい。

「夜行バス」、「独立心」、「寮の部屋」…。大人の女性への階段を上ろうとしている思春期の女の子が浮かび上がるようクロエ(Chloé)のコレクションからも、アーティーなウエアを発見。胸に抽象画をはめ込んだようなトップスは、落ち着きのあるニュアンスカラーと格子を描く立体的なツイードで、ささやかながらも絶対的な存在感を期待できる一枚。両肩のメタルボタンや、美しく構築的なシルエットでモダニティも忘れない。

ドルチェ＆ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)からは、ビジューやスパンコールで描いた、祖国イタリアのイコン(聖画像)モチーフがゴージャスなコレクション。すでにセレブが着こなす姿がスナップされている。その中でもこちらのブラウスならデイリー仕様でも比較的挑戦しやすそう。ゴールドを基調とした刺繍とペールブルーのコンビネーションが美しく、襟元がビジューでトリミングされ、アクセサリーいらず。