モスキーノ(MOSCHINO)の2022年プレフォールコレクションが発表された。
今シーズンのインスピレーション源となったのは、60年代のSF映画で描かれた“ディストピア”のような飽和状態の世界観。
映画『時計じかけのオレンジ』や『ブレードランナー』、そしてビートルズの名盤『サージェント ペパーズ ロンリー ハーツ クラブバンド』など60年代カルチャーのエッセンスを様々なアプローチで組み込み、レトロポップな色彩を通して記憶の旅へと誘った。
タイムスリップのオープニングを飾るのは、ラベンダー、タンジェリン、スペース エイジ ブルーなど、大胆なカラーブロッキングで華やかに再解釈した軍国主義的モチーフの数々。軍服を彷彿とさせるダブルブレストのドレスやジャケットには、『時計じかけのオレンジ』でおなじみのボウラーハットを合わせた。
幾何学的なシェブロン柄やマルチストライプは、航空会社のヴィンテージ制服のピンストライプのエッセンスを引用したもの。ドレッシーなビスチェトップ&スカートに配することで、カラフルなコレクションの中でもひと際存在感を放つルックに仕上げている。
現実離れした“だまし絵”が施された衣服も印象的。たとえば、パープルのシャツにトラペーズスカートを合わせたコーディネートは、襟だけがリアル。そのほかは、ベルトやポケット、ブーツのレースアップにいたるまで、全てがイリュージョンプリントで描かれている。
ルックの後半へ進むと、さらにファンタジックな絵画の世界へ突入。ラペルの長いトレンチコートやノーカラーワンピース、スーツなどをキャンバスに、60・70年代当時の自由奔放でポップな色彩をのせた。
フィナーレを飾るのは、光学的な豪華さを表現したサイケデリックな雰囲気のアイテム。エレガントなコラムドレスにはカラフルな円盤型のモチーフを連続的に配し、煌びやかに。目がくらむような色彩を通して、古き良き時代への幻想的なオマージュを捧げた。