企画展「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」が、東京都現代美術館にて、2022年7月16日(土)から10月16日(日)まで開催される。
デザイン・工芸・建築などの領域を横断し、20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与えたジャン・プルーヴェ。1901年に生まれ、芸術と産業の融合を試みたアール・ヌーヴォーの一派「ナンシー派」の金属工芸家として活動をスタートしたプルーヴェは、1930年代にはアルミニウムやスチールなどの新たな素材を探求しつつ、家具から建築へと活動領域を拡げた。また、解体・持ち運び可能な椅子やプレファブ建築を考案するなど、建築生産の工業化に大きな役割を果たしている。
プルーヴェの大規模な展覧会となる「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」では、20世紀という時代にデザインと生産を総合的に捉え、新たな技術や素材を追求したプルーヴェの仕事を紹介。代表作である《「セントラール」テーブル》や《ファサード・パネル》、《ライン照明》、工業生産化への移行を象徴する《引き出し付き折りたたみテーブル》など、オリジナルの家具や建築物約120点を、図面やスケッチなどの資料とともに展示する。
1930年代、プルーヴェは公共機関や大学に向けた家具を数多く手がけた。とりわけ椅子は、プルーヴェにとって重要な位置を占めており、剛性と人間工学に基づく合理性と、整った形が交錯するデザインを探求し続けた。本展では、1932年の《「シテ」チェア》から1954年の《「コンフェレンス」チェア No. 355》まで、数々のモデルを展示し、そのデザインの変遷をたどってゆく。
一方、1950年代になると、プルーヴェは国外に販路を求めて、アフリカで使われるための家具やアルミニウム製のファサードを手がけている。展示室では、こうした仕事のなかから《「S.A.M.」テーブル No.506 アフリカ型》や《「トロピク」アームチェア No.351》、そしてギニアのUAT航空やカメルーンの学校のために製作された日除ルーバーも紹介する。
また、本展では、自身を「構築家(constructeur)」と位置付けたプルーヴェの建築へのアプローチにも着目し、主要な建築プロジェクトを多数の資料から紹介するとともに、現存する3つの建築作品──構造体とファサードを別々に展開することで構造の特徴を浮かび上がらせる《「メトロポール」住宅(プロトタイプ)》、ピエール・ジャンヌレとともに第二次世界大戦中の極限状況下で設計・建設された《F 8×8 BCC組立式住宅》、そして東フランスの難民のための一時的な住居として設計された《6×6組立式住宅》──も展示。これら3つの作品は、いずれも解体・移築可能な建築物であり、フランスの建築史で重要な位置を占めるばかりでなく、プルーヴェの比類ない創造性を示すものとなっている。
さらに展示室内では、貴重なプルーヴェのインタビューを含む映像も上映。《折りたたみ天板付き講義室用ベンチ》が設置され、実際にこの作品に座って映像作品を観ることができる。
企画展「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」
会期:2022年7月16日(土)〜10月16日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1階・地下2階
住所:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)、7月19日(火)、9月20日(火)、10月11日(火)
観覧料:一般 2,000円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円、中高生 800円、小学生以下 無料
※学生無料デー Supported by Bloomberg:8月30日(火)〜9月2日(金)の4日間、中高生・専門学校生・大学生は「ジャン・プルーヴェ展」を無料で観覧可(チケットカウンターにて学生証を提示)
※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可
※開催内容は変更となる場合あり
■同時開催
・企画展「MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」
・コレクション展「MOTコレクション コレクションを巻き戻す 2nd」
【問い合わせ先】
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TEL:050-5541-8600