アタッチメント(ATTACHMENT)の2023年春夏コレクション「ホライズン(HORIZON)」が、2022年7月12日(火)、東京の代々木第二体育館エントランスにて発表された。ヴェイン(VEIN)の2023年春夏との合同ショーとなる。
デザイナーがヴェイン手がける榎本光希に変わって2シーズン目となった、今季のアタッチメント。着想源となったのは、カナダ人の美術家アグネス・マーティンだ。その作品は、きわめて細かな線によって描かれたグリッドにより構成される。幾何学的なグリッドというとたちどころにソル・ルウィットやドナルド・ジャッドのごときミニマル・アートが想起されるが、しかしマーティンのグリッドは、ミニマリズムのように工業的・無機的ではない。その線はあくまで手描きの繊細さを湛えている。
手描きの繊細さとモノクロームのグリッドが織りなす静謐さが、ある種のミニマムさを志向するアタッチメントの根幹とマッチするのは言うまでもない。ミドル丈のトレンチコートはエポーレットなどのディテールを廃し、デニムジャケットはオープンカラー仕様、フロントボタンは上下2つのみを外に出して粗野な雰囲気を払拭するなど、ウェアをエッセンシャルな要素に切り詰めるミニマムなスタイルが軸となっている。
もちろん、そうしたミニマムさは決して厳しさを示すことななく、シルエットや素材感より軽快で親密なムードを漂わせている。ノーカラージャケットはやや重心を下方に設定したリラクシングなシルエットで。テーラードジャケットも、フロントはアシンメトリック、サイドにベルトを施すことで、フォーマルすぎないスタイルに仕上げた。
マーティン作品のグリッドも、ウェアの随所に反映されている。上述のテーラードジャケットやハーフパンツには、細かな線によるウィンドーペーンのチェックを。あるいは軽快なオープンカラーシャツには、優しげなオンブレチェックを載せている。他方で、榎本が青春時代に着用したというシュリンク加工のシャツなど、アタッチメントらしいベーシックなアイテムを基調としつつ、デザイナーの歩みを直接に反映したウェアも見られる。
カラーは、親密さとミニマムさをイメージさせるエクリュが中心。ブルーやグレーなど、いずれも軽快な素材感と調和する淡く優しげな色調でまとめられた。