アブランクページ(ablankpage)の2023年春夏コレクションが発表された。
タイ生まれのデザイナー、ラロパイブン・プワデトが手掛ける「アブランクページ」は、2022年秋冬コレクションよりスタートした気鋭のブランド。ブランド名の“アブランクページ”は“何もない空白のページ”という意味で、偏見や固定観念にとらわれず自分自身で人生の物語を書き進めていくという思いが込められている。
2シーズン目となる今季、ラロパイブン・プワデトがコレクションで描き出したテーマは「ステレオタイプからの脱却」だ。ルックは、自身のルーツであるタイの文字やテキスタイルを取り入れたカラフルなものから、徐々に色が抜けていき、最後は紙のように真っ白な衣装へ。人種や国籍、外見といったステレオタイプが剥がれ落ち、ありのままの自分が表れていく様子を色調の変化で表現した。
色彩とモノに溢れているタイのネオン街。ショーの前半では、派手で雑多な街の雰囲気を洋服から感じ取ることができる。たとえば、目が覚めるような蛍光イエローのビニールコートは、裾や袖をとびきり装飾的に。ファーストルックに登場した、まるで宙に浮かんでいるかのような三角帽子は、よく見るとタイの紙幣で構成されているのがユニークだ。
ぐるぐるとワイヤーが渦巻くようなピースにも注目。こちらは、タイのごちゃごちゃとした電線からインスピレーションを得た1着だという。
“証明写真風”グラフィックを配したTシャツもアイキャッチーなアイテム。写真の男性は、デザイナーのラロパイブン・プワデト本人だ。黒い目隠し線を入れることで、匿名性を強調。見た目の偏見から解放されていく様子を表現した。
ショー後半に入ると一転、色調はホワイトとグレーの無彩色に変化。Tシャツやラフなスラックスなどカジュアルなアイテムが並んだ前半とは対照的に、エレガントでドレッシーなピースが多く登場するようになる。
たっぷりと布地を使用したコートは、歩くたびにふんわりと空気を内包し、ウェディングドレスのように華やかなシルエットを形成。シャツやブラウスはスリーブ部分をたっぷりと取り、ギャザーを寄せることで優美かつロマンティックな表情を演出した。