ANDREA POMPILIO(アンドレア・ポンピリオ)の2014-15年秋冬コレクションは、テーラードジャケット、チェスターコート、ダッフルコート、フライトジャケットなどの“ユニフォーム”に、ストリートやパンク、スポーティーな要素を織り交ぜることで、新鮮なスタイルを紡ぐことに成功している。
威厳のあるビルドアップショルダーのチェスターコートやミリタリージャケットには、ポップなドット柄やデニムを合わせることで堅苦しさを相殺。逆に言えば、ポップな柄を多用しているのに軽々しく見えない。
今回のインスピレーションソースは、生意気な表情をした金髪の少年と、大きな金ボタンの完璧な制服に身を包んだ軍師官が写った一枚の家族写真。少年はポンピリオで、軍師官は祖父だ。ポンピリオ少年にとって、祖父は厳しさと優しさの両方を教えてくれた人だったのだろう。そんな祖父への思いがコレクションに滲み出ているような気がした。
スタイリングのポイントは、アウターより大幅に長いインナー使い。今シーズンのトレンドになっている着こなしだが、ポンピリオのそれはとかく切れ味が鋭い。ロング丈のタートルネックセーターとシャツの重ね着(ボタンは一番上まで留める)は、気軽に今っぽさを演出できるから流行するのは確実だろう。薄手のナイロンパーカーのインナーにゴージャスなラビットファーを配置したような、表と裏の素材を逆にしたような表現も目立つ。
カラーパレットは様々な濃淡で表現したネイビーブルーを基調に、グリーン、オレンジ、イエローを挿し色として使用。ロシアの将校を思わせるファーのハットやカラフルなレザーグローブなどの小物使いも印象的だ。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)