企画展「芸術家たちの南仏」が、千葉・佐倉のDIC川村記念美術館にて、2023年3月11日(土)から6月18日(日)まで開催される。その後、栃木の宇都宮美術館、広島のふくやま美術館に巡回する。
南仏は、かつて芸術家が景勝地や巨匠の作品にふれるべく、パリからイタリアへと赴く際の中継点と見なされてきた。しかし19世紀末以降、地中海や山々に囲まれた豊かな自然、そしてまばゆい光に魅了された芸術家たちは、南仏を制作の地として選ぶようになる。一方、戦時期には、敵性外国人として収容された作家や、港を求めた他国への亡命者が、作品を手がけた地でもあった。
企画展「芸術家たちの南仏」は、20世紀の芸術を育んだ場としての南仏に着目する、日本初の展覧会。ポール・セザンヌ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、ハンス・ベルメールなど、約30の作家を取り上げ、その作品と関連資料約150点を紹介する。
20世紀において、ヴァンスやニース、マルセイユなど、南仏は芸術家の制作の場、交流の場として重要性を高めていった。たとえば、セザンヌの影響を受けた若い芸術家は、フォーヴィスムやキュビスムといった実験的な表現を展開した。また、マティスをはじめ、晩年に南仏を拠点とした芸術家は、礼拝堂の装飾や壁画など、モニュメンタルな仕事にも携わっている。本展では、南仏で育まれた20世紀美術の多様性に着目し、その豊かさを俯瞰する。
19世紀のフランスでは、国内に鉄道網が発達し、ヨーロッパ北部の人びとは避寒のために地中海沿岸地域に旅行をするようになった。会場の序盤で展示されるキスリングの《風景、パリ―ニース間の汽車》には、豪華列車「ブルー・トレイン(トラン・ ブル)」が描かれている。また、会場の入り口では、初期映画の先駆者リュミエール兄弟が南仏で撮影した『ラ・シオタ駅への列車の到着』を上映し、20世紀初頭の南仏へと誘う。
第二次世界大戦中の南仏には、敵性外国人として収容されたドイツ人の芸術家や、フランスのドイツ降伏を受けて他国への亡命を試みたシュルレアリストが集まることになった。本展では、マックス・エルンストやハンス・ベルメールなど、戦争を背景に生みだされた作品を通して、南仏の温かなイメージとは異なる側面にも光をあてる。
企画展「芸術家たちの南仏」
会期:2023年3月11日(土)〜6月18日(日) 会期中に一部展示替えあり
[前期 3月11日(土)〜4月30日(日) / 後期 5月2日(火)〜6月18日(日)]
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般 1,800円、学生・65歳以上 1,600円、高校生以下 無料
※障害者手帳の所持者および付添者1名までは無料
■出品作家
ジャン・アルプ、ハンス・ベルメール、ポール・セザンヌ、マルク・シャガール、ソニア・ドローネー、アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、マックス・エルンスト、フェルナン・レジェ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、ヴォルス ほか
■巡回情報
・宇都宮美術館
会期:2023年7月2日(日)~9月24日(日)
住所:栃木県宇都宮市長岡町1077
・ふくやま美術館
会期:2023年10月7日(土)~12月10日(日)
住所:広島県福山市西町2-4-3
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)