テンダーパーソン(TENDER PERSON)の2023-24年秋冬コレクションが、2023年3月15日(水)に渋谷ヒカリエ ヒカリエホールAで発表された。
「Dreaming of me」をテーマに掲げる今季のテンダーパーソンは、悲しみや苦しみ、プレッシャーなどを抱えたデザイナー・ヤシゲとビアンカの2人が、自分たちの存在を証明するために創作を続けたコレクションを展開。ネガティブな感情や悪夢、すなわち自分自身と向き合う極限状態の“通過儀礼"をランウェイに置き換え、表現している。
コレクション全体を通して、衣服に悪夢を連想させるディテールが散りばめられているのが特徴だ。中でも、テーラードジャケットとパンツのセットアップには、肘・膝部分に2023年春夏コレクションでも使用した武骨なプロテクターを採用。服が“喪失感などの負の感情から、自分自身の精神を守ってくれる存在”であることを暗に示している。
また、デザイナー・ビアンカの幼い頃の記憶を辿ったデザインソースも。例えば、空想をイメージしたラメを織り交ぜたスカラップのカーディガン、フリンジ付きのフーディーやニットは、祖母と母の手作りの服や自身のリメーク服がベースだ。鮮やかなピンクやグリーン、ブルーを用い、生きるためのエネルギーをカラーパレットで体現している。
グラフィカルな柄が目を惹くアウターには、メキシコの映画監督、ギレルモ・デル・トロが描いた架空の登場人物やヴィンテージの絵画、ポスターなどのコラージュをプリント。中綿入り生地のアウターに星型のキルティング加工を施し、遊び心を効かせている。そのほかランウェイには、ベストとパンツも登場した。
アイコニックな“炎”のフレームモチーフにも注目したい。今季は、フレーム刺繍をあしらった袖の羽織に加え、職人がフレーム型にカットした裾のシャツ&カーディガンを新たに用意。ファッション業界で今後も燃え続けたいという、デザイナー2人の強い闘志が感じられた。