特別展「没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界」が、東京のたばこと塩の博物館にて、2023年4月29日(土・祝)から6月25日(日)まで開催される。
大田南畝(おおた なんぽ)は、江戸の出版界の中心人物であるとともに、狂歌の名人「蜀山人(しょくさんじん)」としても知られている。平賀源内や喜多川歌麿などと交流を持つ一方、幕臣としても秀でており、同時代の事件や風聞、歴史的な典籍など、見聞きしたあらゆる事物を書き残した功績は大きい。
特別展「没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界」では、南畝自筆の書物、版本や肉筆画、版画など約180点を通して、南畝の業績を紹介。また、たばこと塩の博物館を会場とすることにちなんで、南畝と深い関わりを持ったたばこ屋の平秩東作(へずつ とうさく)と蘭奢亭薫(らんじゃてい かおる)にも光をあてる。
寛延2年(1749年)に生まれた南畝は、言葉を自在に操る才能に恵まれ、漢詩を出発点に、狂詩や狂歌、戯作も手がけた。本展ではまず、南畝の文芸作品に着目。生涯にわたって作り続けた漢詩をはじめ、出世作『寝惚先生文集』や黄表紙『鎌倉太平序』など、さまざまなジャンルの作品を紹介する。
南畝はまた、「随筆」でも知られている。当時の「随筆」とは、しかし、現代のように筆者の思いを綴るというものではなく、耳目に留まった書物の記載、見聞や伝承などを記録したものであった。会場では、江戸時代を代表する随筆である『一話一言』などを紹介し、南畝の情報編集者としての側面に光をあてる。
南畝は広範な領域に関心を抱き、その範囲は、伝統的な事物から庶民の風俗、習慣の歴史にまで及んでいる。とりわけ、江戸の地理、遊里を含む風俗や文化の成り立ちに対しては強い関心を抱いており、仲間の戯作者である山東京伝(さんとう きょうでん)などとともに、懐古趣味や考証随筆を流行させることになった。本展では、南畝が編集した古器物図録『流観百図』や、京伝の考証随筆『近世奇跡考』など、奇物・珍物集や地誌などを展示する。
さらに本展では、「南畝とたばこ屋」をテーマに、南畝の生涯の節目ごとに彼を支えた知友であり、たばこ屋でもあった平秩東作と蘭奢亭薫にも着目。狂歌集『狂歌百人一首 古今狂歌袋』や、葛飾北斎が絵を手がけた摺物といった資料を通して、彼らふたりと南畝の関係を紹介する。
特別展「没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界」
会期:2023年4月29日(土・祝)〜6月25日(日) 前・後期で大幅な展示替えあり
[前期 4月29日(土・祝)〜5月28日(日) / 後期 5月30日(火)〜6月25日(日)]
会場:たばこと塩の博物館 2階特別展示室
住所:東京都墨田区横川1-16-3
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
観覧料:大人・大学生 100円、小学・中学・高校生 50円、満65歳以上(要証明書) 50円
※開館時間や休館日は変更となる場合あり(最新情報については公式Twitterなどにて確認のこと)
【問い合わせ先】
たばこと塩の博物館
TEL:03-3622-8801