チリのストップモーション・アニメーション映画『オオカミの家』が、2023年8月19日(土)に公開される。監督は、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャ。同じくレオン&コシーニャが手掛け、アリ・アスターが製作総指揮を務めた短編『骨』も同時上映される。
チリの2人組の映画監督、レオン&コシーニャが手掛ける映画『オオカミの家』は、“ホラー・フェアリーテイル” アニメーション。チリ南部のある施設から逃走し、森の中の一軒家で二匹の子ブタと出会った娘マリアの身に起きる、悪夢のような出来事を映し出している。ストーリーは、ピノチェト軍事政権下のチリに実在した「コロニア・ディグニダ」というコミューンから着想を得たものだ。
美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず集落から脱走してしまう。
逃げ込んだ一軒家で出会った2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け、世話をすることにしたマリア。だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく 。
監督を務めたレオン&コシーニャが『オオカミの家』の脚本、美術、撮影、編集も手掛け、作品の大部分を、ほぼ二人で完成させたといえる。企画段階を含め、完成までに5年の歳月を費やしており、ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞を受賞するなど世界各国で数々の賞を受賞している。
撮影が行われたのは、チリ国立美術館やサンティアゴ現代美術館のほか、オランダ、ドイツ、メキシコ、アルゼンチンにある10カ所以上の美術館やギャラリー、文化センターだ。これらの施設をスタジオ代わりに、実寸大の部屋のセットを組み、ミニチュアではない等身大の人形や絵画をミックスして制作。実際に作る様子や制作途中の映像を、エキシビションの一環として観客に公開するという独自の手法で、映画を完成させた。
また、『ミッドサマー』を手掛けたアリ・アスターが『オオカミの家』を一晩に何度も鑑賞し、自ら二人にコンタクトをとったというエピソードも。レオン&コシーニャと意気投合したアリ・アスターは、レオン&コシーニャの短編映画『骨』の製作総指揮に名乗りを上げた他、自身の最新作『Beau is Afraid』の12分にも及ぶというアニメ・パートをレオン&コシーニャに依頼したという。
アリ・アスターは、「レオン&コシーニャは、まぎれもなくヤン・シュヴァンクマイエルとクエイ兄弟の後継者だ。『オオカミの家』のような作品が作られたことは、過去に一度もない!」と絶賛している。
【作品詳細】
映画『オオカミの家』
公開時期:2023年8月19日(土)
監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
脚本:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ、アレハンドラ・モファット
声の出演:アマリア・カッサイ、ライナー・クラウゼ
原題:La Casa Lobo
同時上映:映画『骨』