特別展「畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ─世界にはばたいた布たち─」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2023年8月8日(火)から10月22日(日)まで開催される。
インドは古くから綿の国であった。木綿に美麗な染色を施すことは容易ではなく、17世紀以前、鮮やかな赤色や黄色を持ち、なおかつ洗っても色落ちしにくい布を作る技法は、インドのみが有していた。
特別展「畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ─世界にはばたいた布たち─」では、交易によって世界中に広まり、変化を遂げていったインド布の伝搬に着目。ヨーロッパばかりでなく、インドネシア、タイ、ペルシャ、日本など、それぞれの地におけるインド染織の展開を、さまざまなテキスタイルとともに紹介する。
インド布がとりわけ大きな影響を与えた地がヨーロッパであり、媒染技術の知られていなかった17世紀、発色に秀でたインドの布は、驚きをもって迎えられた。第1章では、ヨーロッパとの関係のなかで作られた布に着目し、エキゾチックな柄の捺染布「パランポール」や、ヨーロッパ上流階級のドレスに仕立てられたモスリン木綿、1枚作るのに最低3年は要するとされるカシミヤショールなどを展示する。
日本で「更紗(さらさ)」として知られる布は、インドからインドネシアに渡った捺染布と、その後インドネシアで作られたろうけつ染めの模倣布を指す。第2章では、「更紗」にとどまらず、インドから中東やアジアに渡り、さらに各地で模倣された布を紹介。幾何学文の捺染布や、ヨーロッパには見られない絹絣「パトラ」などを目にすることができる。
絹は古くから中国が名高かった一方、木綿はインドの独壇場であった。第3章では、王侯貴族用、寺院の荘厳・儀礼用を中心に、貴重なインド布を紹介。木綿に手描きや木版で花柄などを捺染した布や、インド国内の宮廷や寺院で使われた金銀糸織なども展示する。
特別展「畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ─世界にはばたいた布たち─」
会期:2023年8月8日(火)〜10月22日(日)
[前期 8月8日(火)〜9月10日(日) / 後期 9月12日(火)〜10月22日(日)]
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜)
入館料:一般 1,300円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
※20名以上の団体は各100円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者および同伴者1名は無料
※同会期中のリピーターは200円引き
※着物での来館は200円引き
【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL:03-5575-5711