映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』のマイキーこと佐野万次郎役 ・ 吉沢亮にインタビュー。
ヘタレ男子のタケミチが未来を変えようとタイムリープし、関東最凶の不良軍団・東京卍曾と共に“人生のリベンジ”に挑んでいく姿を描いた和久井健の漫画『東京卍リベンジャーズ』。その実写化第2弾となる『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の後編「-決戦-」では、東卍崩壊の危機をもたらす東卍崩壊vs芭流覇羅(バルハラ)の一大決戦が描かれる。
そんな東京卍會の総長であり、『東京卍リベンジャーズ』の公式人気投票で圧倒的な1位にランクインしたマイキーこと佐野万次郎役を演じたのが吉沢亮だ。吉沢自身はマイキーをどのように捉え、演じていたのだろうか?公開に先駆け、インタビューを実施した。
吉沢さんは前作の『東京リベンジャーズ』からマイキーを演じられてきました。ご自身が考えるキャラクターの魅力について教えてください。
吉沢:1番弱そうに見えて1番強かったり、自由な面もあれば仲間想いな面もあったり、ちゃんと背負うものがあったり、色々なギャップがあるところが魅力なのではないでしょうか?憧れるけど、いざやってみようと思っても中々できない生き方をしているのがマイキーだと思います。
そんなマイキーは東京卍會の総長を務めています。彼にとって東京卍會とはどのような存在だったのでしょう?
吉沢:最初は仲が良い友達6人で始めたもので、何かを背負う、背負わないということとは別次元にあったと思います。それがいつしか形が変わって、どんどん大きくなってしまった。マイキーにとって大切な存在であることに変わりはありませんが、縛り付けるような存在になってしまったような気がしています。
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』では、悲しい事件をきっかけにマイキーの人間らしい一面も見られたような気がします。役作りをする上で大切にした要素はなんでしょうか?
吉沢:演じる上で大事にしたのは、周りの人たちがしているお芝居を把握することだけです。本当に信頼できる役者仲間に囲まれていたので、現場では皆さんとどんなセッションができるかということだけに集中していました。実質、この作品に向けた準備はアクションの練習だけで、特別に何かを作りこむようなことはありませんでした。
マイキーのアクションシーンはとても痺れました……!
吉沢:ありがとうございます。今回のアクションは、過去にやってきた演技が活かされているなと、自分でも実感できるシーンでした。アクションなんて俳優でなければ中々やらないと思いますし、そういった意味ではマイキー役を通して、人間としてもまたひとつ成長できているかもしれないです。それに今回の一連のアクションを通して、身体がちょっとだけ柔らかくなったのも嬉しかったです(笑)
物語では、一貫して仲間たちの強い絆が描かれています。吉沢さんご自身はどのようなときに仲間の存在を感じますか?
吉沢:同じ苦悩を乗り越えるときに仲間の存在を強く感じます。この現場もそうでしたが、やっぱり大変であればあるほど仲間同士の絆は深まるものだと思うので。
仲間の存在に救われることも?
吉沢:ありますね。それこそ、前作『東京リベンジャーズ』の撮影期間中にドラケン役の山田君に救われたエピソードが今でも印象に残っています。
当時、撮影をストップしなければならない社会状況で、2ヶ月くらい何も出来ない期間があったんです。僕はありがたいことに、それまで何年もお仕事が途切れることなくずっと駆け抜けてきていたので、急にポンと時間が空いてしまった時、どうやって生きればいいのか、何をすればいいのか分からなくなってしまって。
そんな時に山田君に相談したら、「休んでいいんだよ」「今は何も分からないんだから、考えなくていいんじゃない?」と言われたんです。その言葉は僕の心にすごく響きましたし、気持ちも自然と前向きになりました。
素敵なエピソードですね!普段も何かに悩んだ時は誰かに相談するのでしょうか?
吉沢:たしかにあの時は山田君に話しましたが、どちらかと言うと人に悩みを打ち明けられないタイプなんです。だから何か辛いことに直面した際は、寝て忘れるようにしています(笑)もちろんその瞬間はめちゃくちゃ落ち込みますが、2、3日経つと忘れてしまう性格なので。
『東京リベンジャーズ』は、主人公が過去にタイムリープして奮闘する物語です。吉沢さんがタイムリープできるとしたら、いつに戻りたいですか?
吉沢:中学生ぐらいに戻って、この仕事をしていない世界線を生きてみたいです。どんな人生を歩むのか、とても気になります。
中学生の頃、他にやってみたいことなどありましたか?
吉沢:特にやってみたいことも夢もありませんでした。ただ、母親から「オーディションあるよ」って言われて受けた結果が今なので、もし受けていなかったらどんな生活をしているのかということはシンプルに気になりますね。
2009年にデビューして以来、若手俳優の登竜門でもある「仮面ライダー」シリーズへの出演、映画『キングダム』で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞などを受賞、『青天を衝け』で大河ドラマ初出演にして主演と休むことなく駆け抜けてきた吉沢亮。ラストはそんな彼の俳優業にフォーカス。意外な役作りから俳優業に感じている魅力、これからの展望まで話を伺った。
役作りをする上で大切にしていることは何ですか?
吉沢:ここ最近は“考えない”ということを意識しています。セリフだけ覚えて現場に行って、そこで生まれるものを感じ取って、どうするべきか考えるということを大事にしています。
役を作り込んでいかない、と。
吉沢:最近はありがたいことに主演だったり、物語のキーパーソンとなるような役だったり、人間性がしっかりと台本に描かれている役をやらせていただくことが多いので、キャラクターの芯みたいなものは、自分の中で特別に掘り下げなくても掴めることが多いんです。だから自分がどんなお芝居をするべきなのかというよりも、現場の空気感だったり、みなさんのお芝居だったりを気にすることの方を重視しているような気がします。
現場の空気感を捉えることは、演技の幅にも良い影響を与えていくのでしょうか?
吉沢:そうだと思います。自分の頭の中で考えるものって、どうしても限界があると思うんですよね。監督も、他のキャストも、スタッフさんもみんなプロなので、その人たちの技術と投げ合いの中でヒントを得ていった方が演技の幅も広がっていくと思います。
俳優という仕事をしていて、1番嬉しいと感じる時はいつですか?
吉沢:出来上がった作品を見た時かな。みんなで作ったものが面白かった時はやっぱり嬉しいです。「自分の芝居ダメだな」とか色んなところに目が行ってしまうので、客観的に見られているのか?と聞かれると難しいですが、そういうのもすべて忘れて純粋に楽しめる『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』のような作品もありますし、やっぱり出来上がった作品を初めて見た時は嬉しいです。
そんな俳優業の魅力とはいったい何でしょう?
吉沢:魅力か……芸能人にいっぱい会える、かな(笑)
(笑)
吉沢:いや、何でしょうね(笑)
やっぱり作品の時代背景だったり、演じる役の歴史だったり、色んなことを知る機会があるのは俳優の醍醐味だと思います。それこそ大河ドラマで渋沢栄一という役を演じましたが、その前までは名前しか知らない状態で、何をした人だったのかさえ知りませんでした。
でも演じることで歴史はもちろん、当時の文化だったり、その人の考えだったり様々なことを知ることができたので、そういう意味では面白い仕事かもしれないです。
吉沢さんは来年、2024年に30歳を迎えます。20歳になった時と比べて何か変わりましたか?
吉沢:何も変わってない気はしますが、20歳は周囲に対する自意識と言いますか、周りにどう思われているのかということに敏感だったなと思います。それが今では割とどうでも良くなったので、そういう面では成長なのか分かりませんが変わったなと思います。
きっかけなどあったのでしょうか?
吉沢:ある一定の時期から主演をやらせていただく機会が増えて、世間の人から見られる機会も増えたので、気にすることに対して疲れてしまったんだと思います(笑)
それでは最後に、30代で挑戦してみたい役について教えてください。
吉沢:まだ父親役とか先生役とかちゃんとできていないので、機会があればやってみたいです。これまでどちらかというと息子役とか生徒役をやることが多かったので、誰かを支えたり、導いたりするような役に挑戦してみたいなと思います。
【作品詳細】
後編:映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
公開時期:2023年6月30日(金)
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』KC)
監督:英勉
脚本:髙橋泉
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙、間宮祥太朗、吉沢亮
配給:ワーナー・ブラザース映画
©和久井健/講談社
©2023 映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会