映画「スタンド・バイ・ミー」や「マイ・プライベート・アイダホ」など、映画史に残る名作の数々で天性の輝きを放ち、ジェームズ・ディーンの再来と称されていた名優、リヴァー・フェニックス。23歳という若さでこの世を去ってから約20年、未だに世界中の映画ファンを魅了する彼の幻の遺作、「ダーク・ブラッド」が2014年4月26日(土)より、東京・ユーロスペースほか全国順次ロードショーされることが決定した。
リヴァー・フェニックスの死、という悲劇により、撮影途中だった彼の主演映画「ダーク・ブラッド」はクランクアップまで約10日を残して中断。アイドルから大人の俳優へと成長したリヴァーが、オランダの名匠ジョルジュ・シュルイツァー監督とタッグを組み、それまでのイメージを打ち破るダークで深遠な役柄、テーマに挑んだ意欲作として業界内外の期待を背負っていたものの、主役不在での完成は不可能とされ、撮影済みフィルムは保険会社の管理下に置かれてしまった。
だが、映画の運命は再び動き出す。2007年末、75歳にして大病を患い、余命わずかと宣告された監督が、キャリア最後の作品として「ダーク・ブラッド」の再開を決意。資金集め、権利問題の解消、撮影できなかったシーンの再現など、さまざまな壁を乗り越えて2012年に完成した映画は、監督の地元オランダの映画祭でプレミア上映され、ちょうど没後20周年となった翌2013年には、ベルリン国際映画祭ほか各地の映画祭で喝采を浴び、あらためてリヴァーの唯一無二の存在感を現代の観客に印象づけることになった。
映画の舞台はアメリカ西部のかつて白人がネイティブ・アメリカンを迫害し、核実験を繰り返していた砂漠地帯。ハリウッド俳優の夫婦、パフィーとハリーが砂漠の真ん中で出会ったミステリアスな青年、ボーイ(リヴァー・フェニックス)。妻を亡くして以来、世界の終焉を待ち続けているボーイは美しいバフィーを一目見て、生きる本能を目覚めさせていき、バフィーもまたボーイの妖しく不思議な精神世界に惹かれていく。一方、俗世そのもののようなハリーはボーイと事ある毎に衝突する。灼熱の大地で、三人の関係は次第に緊迫の度を深めていき、やがて決着の時が訪れる……というあらすじ。
孤独を保ちながらも愛を渇望する青年ボーイを演じるリヴァーは他の作品では見せたことのないような精悍で研ぎ澄まされた佇まいで体現している。ボーイの欲望の対象となる人妻バフィーを艶かしく演じるのは、ウディ・アレン監督作品の常連女優で、「バートン・フィンク」、「マリー・アントワネット」などでも高い評価を得ているジュディ・デイヴィス。ハリー役には「未来世紀ブラジル」、「エビータ」の個性派俳優ジョナサン・プライスも映画の深みを際立たせる。映画内には、哲学的かつスピリチュアルな暗喩がちりばめられ、リヴァーの実人生を彷彿とさせるラストも相まって深い余韻が残る心理ドラマに仕上がっている。
リヴァー・フェニックスの映画で青春を過ごしたファン、彼を初めてスクリーンで観る新しいファン、そして全ての映画ファンに送る、奇跡の復活を遂げた珠玉の映画がここに完成した。
公式サイト:www.dark-blood.com
【概要】
「ダーク・ブラッド」
2012/アメリカ・イギリス・オランダ/英語/カラー/デジタル/ヴィスタ/86分/原題Dark Blood/字幕翻訳:佐藤恵子
公開日:2014年4月26日(土) 東京・ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:リヴァー・フェニックス、ジュディ・デイヴィス、ジョナサン・プライス、カレン・ブラック
撮影:エドワード・ラックマン
プロダクションデザイン:ヤン・ロールフス、ベン・ヴァン・オズ
編集:マイケル・レイヒワイン
音楽:フロレンシア・ディ・コンシリオ、ジェームス・マイケル・テイラー
サウンドデザイン:ハロルド・ヤルビング
脚本:ジム・バートン、ジョルジュ・シュルイツァー
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給・宣伝:マジックアワー