2021年12月24日(金)公開の映画『キングスマン:ファースト・エージェント』の衣装を特集。衣装デザイナーであるミシェル・クランプトンが手掛けた、物語を彩る衣装の秘密を紐解いていく。
映画『キングスマン』は、ロンドンの高級テーラー「キングスマン」を隠れみのにした、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関“キングスマン”の活躍を描くスパイ・アクションシリーズ。ブリティッシュ・スーツをエレガントに着こなした英国紳士たちが魅せる、キレ味鋭いアクション、スピード感と英国らしいウィットに富んだストーリーで世界中の人気を集める作品だ。
そんな『キングスマン』の見どころの一つとなるのが、映画の為に作られた豪華な衣装の数々。レイフ・ファインズやハリス・ディキンソンらイギリスのジェントルマンたちがスタイリッシュに纏うスーツをはじめ、戦闘服、ドレスなど圧倒的なクオリティで仕立てられた衣装たちが物語を彩っている。
映画『キングスマン』、映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』に続く、最新作『キングスマン:ファースト・エージェント』で衣装を手掛けたのは、イギリスの衣装デザイナーであるミシェル・クラプトン。今回はミシェル・クラプトン自身が語る衣装作りの裏側について取り上げる。
『キングスマン:ファースト・エージェント』の舞台となるのは第一次世界大戦の時代。まず、ミシェル・クランプトンは制作にあたりこの時代をリサーチし、当時の服の特徴を衣装へと取り入れた。
「生地やその重さ、色についてなど調べたのですが、想像していた以上に色彩が鮮やかな時代だったのです。私達が見慣れているのは、当時の白黒の写真なのですが、色彩は実は複雑で鮮やかなもので、紳士服の中には、現代の男性が着る色よりずっと鮮やかでショッキングなものもありました。」
と、ミシェルが語る様に劇中には色鮮やかな衣装の数々が登場。各キャラクターのバックグラウンドや思想などを汲み取り、各登場人物に合わせたカラーパレットでスタイリングを構成している。
例えば、主人公・オックスフォード公の衣装にはソフトな緑、グレーといった色を取り入れることで、彼の持つ深く悲しい過去や厳粛さを表現。また、オックスフォード公の息子であるコンラッドは、若さやチャレンジ精神を表現するため、オイルスキンのジャケット、スラックス、クリケットのセーターなどをスタリングに取り入れている。
また、スーツやドレスといった衣服以外にも、靴、ネクタイ、眼鏡、カフリンクス、タイピン、サスペンダーといったアクセサリーも全て『キングスマン:ファースト・エージェント』のために1からデザインしたという。ネクタイは生地を織るところからスタートしたものもあったという程の拘りようだ。そして、中でも苦労したのは靴だったとミシェルは以下の様に語る。
「実は靴も俳優にとってとても重要です。不思議なことなのですが、俳優の足というのは、繊細なようなのです(笑)。履き心地が悪いため気が散るなどということはあってはなりませんので、うまくフィットしなければなりません。そこで、靴のフィッティングや寸法を測るということは何度もやります。靴は皆私たちが作りましたので、すべての寸法を測り、フィッティングを行わなければなりませんでした。」
『キングスマン』ならではのスーツ姿での迫力のあるアクションシーンを楽しむ際には、是非“足元”にも注目してみて欲しい。
また、激しいアクションを演じるスタント用にはスーツを何着も用意するという裏話も。5着から多い時にはなんと“15着”のスーツをアクションシーンのために制作。時には衣装の準備期間中、スタントによって俳優の筋肉量が増え、体格が変わってしまうことも。そのため、完璧なカットやフィットを追求するために何度も衣装合わせをしたという。