特別展「関東大震災─原点は100年前─」が、神奈川県立歴史博物館にて、2023年7月29日(土)から9月18日(月・祝)まで開催される。
大正12年(1923年)9月1日の関東大震災は、巨大な地震と、それに伴う火災や土砂災害、津波などによって、関東地方を中心に甚大な被害をもたらした。一方、大震災からの復興によって、現代につながる近代的な都市の骨格が形成されたということも確かだ。特別展「関東大震災─原点は100年前─」では、写真や絵画などの資料を通して、関東大震災がもたらした被害、そしてそこからの復興に光をあててゆく。
関東大震災において、震源地に位置した神奈川県域では、人的にも物的にもとりわけ大きな被害を受けている。都市部では、横浜の中心市街地などで建物の倒壊や火災が生じ、多くの犠牲者が出た。また、箱根をはじめ県西部などでは、大規模な土砂災害が発生している。第1章では、吉田初三郎(よしだ はつさぶろう)の《関東震災全地域鳥瞰図絵》や当時の絵葉書などから、大震災の被害を紹介する。
神奈川県立歴史博物館の旧館部分である旧横浜正金銀行本店本館は、ほかでもなく関東大震災をくぐり抜けた建物だ。明治37年(1904年)に竣工したこの建物は、地震に際して発生した火災で内装の多くと屋上のドームを焼失したものの、昭和42年(1967年)の博物館開館時に合わせて復元されることになった。第2章では、大震災からの復興活動に着目するとともに、横浜や東京の新たな街並みにも光をあてる。
関東大震災は、近代的な都市の容貌を育む原点ともなった。その様子を今に伝えるもののひとつが、昭和7年(1932年)、吉田初三郎が描いた《神奈川県鳥瞰図》だ。横幅4mに及ぶ画面には、復興する街並み、東京と神奈川をつなぐ交通網などが描かれており、その姿は現在のものと重なる部分が大きい。第3章では、同作に加えて、土砂災害に見舞われた県西部での森林復旧工事や、震災後の産業復興策として現在の山北町で導入された足柄茶の動向などを紹介する。
特別展「関東大震災─原点は100年前─」
会期:2023年7月29日(土)~9月18日(月・祝)
会場:神奈川県立歴史博物館 1階 特別展示室・コレクション展示室
住所:神奈川県横浜市中区南仲通5-60
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(9月18日(月・祝)は開館)
■観覧料
・特別展・常設展セット料金
一般 1,100円(1,050円)、20歳未満・学生 700円(650円)、65歳以上 250円(250円)、高校生 200円(200円)
・特別展
一般 900円(800円)、20歳未満・学生 600円(500円)、65歳以上 200円(150円)、高校生 100円(100円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳などの所持者は無料
※神奈川県立の博物館・美術館などの有料観覧券の半券提出により、団体割引料金で観覧可
【問い合わせ先】
神奈川県立歴史博物館
TEL:045-201-0926