展覧会「佐藤春夫の美術愛」が、和歌山県立近代美術館にて、2025年4月12日(土)から6月29日(日)まで開催される。
『田園の憂鬱』や『都会の憂鬱』を発表するなど、明治時代から昭和時代にかけて活躍した小説家・詩人、佐藤春夫(さとう はるお)。文学で大きな足跡を残した春夫は、その一方で美術にも関心を抱き、作品を収集するばかりでなく自ら絵筆を執っている。
和歌山県立近代美術館は2024年度、春夫が所蔵していた美術作品148点の寄贈を受けた。これを記念して開催される展覧会「佐藤春夫の美術愛」では、これら寄贈を受けた作品を中心に、春夫ゆかりの美術作品を紹介する。
明治25年(1892年)和歌山・新宮で生まれた春夫は、少年時代、詩書画に高い関心を持っていた父からの影響のもと、新しい思想や文化にふれている。また、一流の美術家や文化人との交流を通して、文学とともに美術への関心を深めていった。上京後には、高村光太郎と交流するなかで自ら絵画制作を行うようになり、二科展では連続入選を果たしている。
春夫はこうして、自著の装幀や挿絵を美術家とともに手がける機会を持つようになった。なかでも、大正時代から昭和戦前期にかけて、木版画で幻想の世界を表現した谷中安規(たになか やすのり)とは深く交流し、春夫のもとには谷中の作品が数多く残されることとなった。
本展では、春夫旧蔵の美術作品を中心に、春夫と美術の関わりを紹介。谷中安規の《文豪 佐藤春夫》や高村光太郎《佐藤春夫像》、春夫自らが手がけた《谷中安規像》のほか、詩情あふれる木版画を制作した川上澄生の作品、里見弴や武者小路実篤とシリーズを分けあったフランシスコ・デ・ゴヤの連作版画集『ロス・カプリーチョス』などを展示する。
展覧会「佐藤春夫の美術愛」
会期:2025年4月12日(土)~6月29日(日)
会場:和歌山県立近代美術館 1階展示室B
住所:和歌山県和歌山市吹上1-4-14
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
観覧料:一般 600円(480円)、大学生 330円(290円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下、65歳以上、障害者は無料
※毎月第4土曜日(4月26日、5月24日、6月28日)は、「紀陽文化財団の日」として大学生の観覧無料
※毎月第1日曜日(5月4日、6月1日)は無料
※「MOMAWコレクション」も観覧可
■同時期開催
・「MOMAWコレクション 和歌山ゆかりの作家と近代の美術」
会期:2025年4月12日(土)〜6月29日(日)
・「MOMAWコレクション 現代の美術」
会期:2025年4月12日(土)〜2026年4月5日(日)
【問い合わせ先】
和歌山県立近代美術館
TEL:073-436-8690