特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 —大阪にひとつ美術の花が咲く—」が、兵庫の芦屋市立美術博物館にて、2024年6月22日(土)から8月25日(日)まで開催される。
大正時代末から昭和時代前期にかけて、大阪における洋画研究の拠点となった、信濃橋洋画研究所。小出楢重(こいで ならしげ)をはじめ、気鋭の洋画家によって開設されたこの研究所は、東京や京都に比べて芸術の実らない地とされてきた大阪で、数多くの芸術家を輩出することになった。特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 —大阪にひとつ美術の花が咲く—」では、信濃橋洋画研究所の活動を、洋画の名品や多数の資料とともに紹介する。
信濃橋洋画研究所は、大正13年(1924年)、小出楢重、黒田重太郎(くろだ じゅうたろう)、鍋井克之(なべい かつゆき)、国枝金三(くにえだ きんぞう)によって開設された。同研究所では、デッサンや油絵などの実技、美術史や解剖学といった講義から構成される講習を開くほか、研究生以外の参加も認めた夏季講習会、講習成果の発表の場となった展覧会など、先進的な取り組みも展開。昭和19年(1944年)に閉鎖されるまで、関西洋画壇を担う芸術家を育てている。
本展では、信濃橋洋画研究所を起点に生みだされた、20作家の洋画作品60点を一挙公開。小出楢重の《帽子のある静物》や黒田重太郎の《不老長春図》といった講師陣の作品に加えて、松井正(まつい しょう)の《都会風景》など、同研究所で学んだ画家の作品を紹介する。とりわけ、近年新たに発見された小出の作品や、公立美術館では初公開となる黒田の作品も展示される。
また、全国の洋画講習会の先駆けとなった、信濃橋洋画研究所の夏季講習会にも着目。研究生以外も参加できた同研究所の夏季講習会は、全国から希望者が殺到するほどの人気を集めた。会場では、当時の講習カリキュラム、小出楢重旧蔵の写真資料、講師陣の報告やエッセイなどから、講習会の内容を紹介する、
さらに、近代日本における洋画を学ぶプロセスも紹介。信濃橋洋画研究所を開設した小出と鍋井は東京美術学校で、国枝と黒田は京都の画塾・関西美術院で絵を学んでいる。本展では、こうした当時の洋画教育機関の状況をふまえつつ、石膏像や人体モデルのデッサンに始まり、油絵具による絵画制作へといたる過程を、小出と黒田の初期のデッサンなどを通して紹介する。
特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 —大阪にひとつ美術の花が咲く—」
会期:2024年6月22日(土)〜8月25日(日)
会場:芦屋市立美術博物館
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(7月15日(月・祝)、8月12日(月・振)は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
観覧料:一般 800円(640円)、高校・大学生 500円(400円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※65歳以上、または身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳、療育手帳の所持者および介護者は各当日料金の半額
※7月15日(月・祝)「ひょうごプレミアム芸術デー」は観覧無料
■出品作家
小出楢重、国枝金三、黒田重太郎、鍋井克之、古家新、松井正、田村孝之介、山本直治、浜田葆光、伊藤継郎、小出卓二、藤井二郎、飯島一次、井上覺造、木村敏、高岡徳太郎、津高和一、仲田好江、長谷川三郎、山崎隆夫
【問い合わせ先】
芦屋市立美術博物館
TEL:0797-38-5432