JW アンダーソン(JW Anderson)の2024年秋冬メンズコレクション、2024年プレフォールウィメンズコレクションが、2024年1月14日(日)、イタリアのミラノにて発表された
ゆるっと首元の開いた、リラクシングなトップスを身につけた姿に些か狼狽する。随分とくつろいだものだ、まるで家の中のように……。というよりもむしろ、この「家の中」のような装いが、今季のJW アンダーソンに通底しているようだ。だからそれは、親密なる室内の装いと呼ぶにふさわしかろう。
早い話が「ルームウェア」かもしれぬ。それも、着込んで柔らかく体に馴染んだ。ヘンリーネックのトップスは柔らかな風合いで、裾には切れ目が入る。クルーネックのニットはまさしくリラクシングなウェアといったところで、シルエットはオーバーサイズ、毛玉ができたかのように古びた風合いが、むしろ親密な雰囲気を醸し出す。
室内でリラックスするのだから、ウェアは無地が中心であるものの、柄も時折り挟まれる。今季のコレクションの着想源となったのは、スタンリー・キューブリックの『アイズ・ワイド・シャット』であり、リラクシングなニットワンピースなどには、スタンリーの妻クリスティアーヌによって描かれた、温かな色合いの絵があらわされている。
ニットウェアなど、いかにも室内着といった雰囲気のウェアが中心を占めるなか、アウターも随所に取り入れられる。大ぶりな衿で仕上げ、ガウンのような佇まいに仕上げたロングコートや、ビッグシルエットのテーラードジャケット、カーディガンなどだ。
それらは、オーバーサイズというより──むろんニュートラルな形容としては間違いではないけれども──、どこか、子どもが親のクローゼットから服を借りちゃいました! といったような、「デカい」といった言い方のほうがしっくりくる。外出するための装いにも、クローゼットという室内の感覚を──室内の親密さをめぐるウィットが、そこかしこに感じられるコレクションだということがでいるのではないだろうか。