展覧会「北欧の神秘—ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」が、東京・新宿のSOMPO美術館にて、2024年3月23日(土)から6月9日(日)まで開催される。その後、長野の松本市美術館、滋賀の佐川美術館、静岡市美術館に巡回する。
「北欧の神秘─ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」展は、北欧の絵画に焦点を合わせる、日本初の本格的な展覧会だ。北欧のうち、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3か国を取り上げ、19世紀から20世紀初頭までの作品約70点を展示する。
北欧はデザイン領域で有名である一方、優れた芸術作品をも育んできた。とりわけ、19世紀におけるナショナリズムの高まりを背景に、それまでフランスやイタリア、ドイツの美術を模範としていた北欧の画家は、母国の自然や歴史、文化に目を向けて作品を手がけるようになったのだ。本展の序章では、 フィンランドの民族叙事詩をテーマとする作品を数多く残したロベルト・ヴィルヘルム・エークマンの《イルマタル》など、北欧の神話や民話に取材した作品を紹介する。
北欧絵画の重要なテーマのひとつが、自然だ。19世紀後半のヨーロッパでは、急速に工業化と都市開発が進む一方で、人々は原始の状態や自然との調和を思い描くようになった。こうしたなかで北欧の画家は、母国の自然に着目し、雄大な風景、北方ならではの白夜や極夜、オーロラなどを作品に描いたのだった。第1章では、自然を題材とした北欧絵画に光をあて、スウェーデンの画家ニルス・クレーゲルの《春の夜》、フィンランドの冬の風景を描いたヴァイノ・ブロムステットの《冬の日》などを展示する。
ヨーロッパでは19世紀、民族的アイデンティティへの関心が高まるなか、失われつつある土着の伝統文化に目が向けられるようになった。北欧の画家も、母国の文化的伝統に強く関心を抱き、それぞれの土地に伝わる民話や伝承をもとに作品を手がけた。深い森を舞台に、英雄や妖精が登場する物語は、北欧絵画を特徴付けるものだ。第2章では、妖精やトロルなどが登場する物語を描いたテオドール・キッテルセンの《トロルのシラミ取りをする姫》など、北欧の神話やおとぎ話を題材とした作品を目にすることができる。
19世紀に近代的な都市が発達すると、人々の生活様式ばかりでなく、芸術もまた変化することとなった。たとえば絵画においては、かつて神話や歴史を重視していたものの、街の景観や都市生活といった同時代のモチーフが描かれるようになったのだ。北欧の画家は、薄闇に沈む都市の神秘的な風景を描くとともに、日常生活の温かないち場面や、都市開発の負の側面にも目を向けている。第3章では、人工の光に包まれた夜景を描いたエウシェン王子の《工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトシュークヴァーン製粉工場の眺め》などを紹介する。
展覧会「北欧の神秘—ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」
会期:2024年3月23日(土)~6月9日(日)
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)
観覧料:一般 1,600円(1,500円)、大学生 1,100円(1,000円)、高校生以下 無料
※( )内は事前購入券の料金(公式電子チケット「アソビュー」、e+(イープラス)、ローソンチケット、チケットぴあほかにて販売)
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の提示者本人および介助者1名は無料
■巡回情報
・長野会場
会期:2024年7月13日(土)~9月23日(日・祝)
会場:松本市美術館(長野県松本市中央4-2-22)
・滋賀会場
会期:2024年10月5日(土)~12月8日(日)
会場:佐川美術館(滋賀県守山市水保町北川2891)
・静岡会場
会期:2025年2月1日(土)~3月26日(水)
会場:静岡市美術館(静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F)
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TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)