ヴェイン(VEIN)の2024年秋冬コレクションが、2024年2月5日(月)、東京・原宿にて発表された。テーマは“ave”。前シーズンに続き、単独でのランウェイショー開催は2回目となる。
今季、ヴェインがテーマに掲げた“ave”とは、ラテン語で「歓迎」や「敬意」を表す。ここにおける“ave”は、単純に挨拶の言葉としても使用されており、ひいては今回ヴェインのアトリエを開放して開催されたショーや、発表の場において初めて目にする衣服との出会いにも結びつく言葉として据え置くことができる。
「いわば第2の家とも言えるアトリエにゲストが訪ねてきて、まるで会話がはじまる最初の挨拶となるようなショーをやってみたかった」とデザイナーの榎本光希は語る。
同時に今季は、「挨拶を終えた後の予想外の会話のように、ランウェイから離れた衣服の着られ方は、着る人に委ねていたい」というブランドの中核を成す思想を再解釈する狙いもあったという。その着る人次第で衣服が変わるという思惑を強く示すのが、自由にシルエットを変えられるカットソーだ。このカットソーは、ドローストリングにより丈の長さなどを調節することが可能となっている。重ね着できるアイテムとして、ノーカラーのジャケットの胸元から覗いているのも印象的であった。
コレクションを通して散見されたのは、ラップスカートのレイヤードスタイルだ。単体での着用はもちろん、好みによってデニムやスラックスといったアイテムに重ねることが可能だ。特にマチ付きの大きなポケットをフロントに配し、ストラップで大胆に巻かれた「ラップスカートバッグ」は、着用者次第では純粋にラップスカートにも、はたまたウエストバッグにもなるように、“着用者次第で変化する衣服”を表す可変性に溢れたアイテムとなっている。
また、見る者の目線を下に惹きつけ、重心を低く見せるルックも多数見受けられた。たとえば、膝下に一文字のカットオフを施したバギージーンズが、その好例だ。カットされたラインからは糸がほつれ出ており、目線を下へと促す。
このほかにも、カーゴパンツやMA-1の低い位置に配されたポケット、まるでトレンチコートを解体したかのような「ロウアースカート」が例として挙げられる。
カラーパレットは、モノトーンを基調としつつも、柔らかな色合いのピンクやデニムのブルーなども織り交ぜた豊かな色彩で。コレクションではピンクのニットに始まり、ブラックのレザーやデニムパンツなど、見る者へかわるがわる挨拶するかのようにそれぞれのカラーを往来していた。