そんなおふたりが思う“演じることの魅力”とは?
山田:やっぱり誰も知らない、その存在してなかった人として、その人を存在させてあげるっていうこと。だからこの仕事があるんだな、だから僕やってるんだなって思いますね。
誰かの人生を追体験するというより、そのキャラクター自体を存在させるっていうことでしょうか?
山田 :そうですね。しかもそれを僕が演じられるっていうことがポイント。 過去に実在した人物で、何度も映像化されていて、いろんな人が演じている作品や役もあるじゃないですか。でもそれも結局はそれぞれであって、史実なんて正直誰1人本当のことはわからないから…そこを細かくどうこうっていうよりも、とにかく今のタイミングで出会った、僕とこの役はこうだよねって。これをあなたの人生をもって伝えなきゃいけないよねって。人々に伝えることを大事に演じています。
仲野:僕は、役に救われた経験がたくさんあります。役との出会いによって、人生が変わったり、俳優として転機を迎えたり…演じていて幸せを感じるし、この役に出会えてよかったなと思うことが多いです。あとお芝居をしている時って、実は日常生活よりも素直になれている気がする。普通に生活していて、急に笑ったり怒ったり泣いたりできないじゃないですか。(笑)
抑圧されて、逆に演じている部分があると思いますが、お芝居をしている時は、普段出ないような感情が出てくる。演技だからといってその感情は嘘ではないので、いつもより素直になれているような…不思議な感覚がありますね。
なるほど。今お話にあがりましたが、ご自身のターニングポイントになった作品ありますか?
仲野:ドラマ「ゆとりですがなにか」です。あの作品がなかったら、また違った人生になっていたのかな?なんて思いますね。今までやったことないような、少しヒールというか、ムカつくキャラクターだったんですけど。まさか自分の中に彼が存在していると思ってなくて…でも演じてみたら、それまでの俳優人生の中で1番反響をいただいて、転機になった作品です。
山田:僕は、なんですかね~。今25、6年俳優を続けているのですが、やっぱり飽きてきちゃう。でも好きだから、飽きたくないから、飽きないように工夫しています。僕の作品選びとか生き方は、自分で毎回ターニングポイントを作りにいってるっていうのが近いかな。僕の作品を全部知っている人もそんなにいないと思うので、皆さんがどこをターニングポイントと思うかはちょっとわからないですけど。(笑)僕はただ単に自分が飽きないように、いろんな役柄を演じています。
確かに10代の時の恋愛ドラマや映画のイメージから現在まで、振幅が大きいです。
山田:当時のトレンドなんです。純愛ものが多かったですね。僕が初めて自分で選んだ作品、映画『クローズ』ですからね。
またガラッと雰囲気が変わりましたね!(笑)
山田:それまでも「不良やりたい」「コメディやりたい」「時代劇やりたい」って言ってたけど、やらせてもらえなかった。(笑)…そこから考えると、役の幅が広がってるな~。勇者やったりヤンキーやったりね。(笑)
仲野:抑圧からの爆発ですね!(笑)
ありがとうございます。(笑)政と平四郎は 最後まで信念を貫き通します。現在の活動において、おふたりが何か“貫いているもの”はありますか?
山田 :“自分がワクワクするかどうか”、やっぱりこれのみですね。たとえば、この監督からオファーが来たとか、この人と共演できるとかってお話をいただいても、その前にどんな作品、どんな役をやっていたかにもよって、今じゃないかもなってことがあるんですよ。この人とお仕事したいという思いはあっても、100%気持ちがのっていない時は、今じゃない!ってお断りして…もうタイミングが合わなかったっていうことで仕方ないです。そのタイミング、自分がワクワクするっていうことに重きをおくのは、今後もずっと変わらないと思います。
仲野:そうですね。今はまだ自分の中に言葉にして言えるほど、これだ!っていう信念はないけれど、自分に対して嘘つかないような仕事をしていきたいですね。ちゃんと自分と正直に向き合って、直感を信じて、長く俳優を続けられるよう取り組みたいと思います。
【作品概要】
『⼗⼀⼈の賊軍』
公開日:2024年11月1日(金)全国公開
出演:⼭⽥孝之 仲野太賀
尾上右近 鞘師里保 佐久本宝 千原せいじ 岡山天音 松浦祐也 一ノ瀬颯 小柳亮太 本山力
野村周平 音尾琢真/玉木宏
阿部サダヲ
監督︓⽩⽯和彌
企画・プロデュース:紀伊宗之
原案:笠原和夫
脚本:池上純哉
配給:東映