カルラ・シモンが監督を務めた映画『太陽と桃の歌』が、2024年12月13日(金)にヒューマントラストシネマ渋谷・TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開される。第72回ベルリン国際映画祭にて最高賞の金熊賞を受賞した作品だ。
監督を務めるカルラ・シモンは、少女の特別な夏を描いた初の長編監督作『悲しみに、こんにちは』でベルリン国際映画祭で最優秀新人作品賞とジェネレーション部門グランプリを受賞。『太陽と桃の歌』は、『悲しみに、こんにちは』に続く長編2作目となる作品であり、ベルリン国際映画祭に凱旋するや金熊賞受賞を果たした。
映画『太陽と桃の歌』の物語の舞台は、スペイン・カタルーニャの桃農園。大家族のソレ家が3世代にわたって経営してきた桃農園だったが、地主からソーラーパネル設置のため夏の終わりに土地を明け渡すよう迫られる。
立ち退き命令を受けて、祖父・ロヘリオは先代が譲ってくれた土地だと主張するものの、契約書がなければ正式な証明が成立しないと指摘を受け、行き詰まった表情に。そんなロヘリオを一家の父親であるキメットが口約束を交わす程度の仲だったのだろうと責め立て、家庭内に重苦しい雰囲気が流れる。
いつもであれば家族総出で桃の収穫をするはずのところ、大げんかが勃発して家族はバラバラに。一家に大きな亀裂が入ったまま、最後の桃の収穫を迎えることになってしまう。
急激な時代の変化にさらされる家族の絆を通して、自然と人間との間で起こる問題や、大手業者の“買い叩き”に悩む農家の適正価格の訴えを、美化することなく慈しむように描写。困難な時代にあっても希望を見出すことのできるような、ヒューマンドラマ作品となっている。
なお、リアリティ溢れる演技を見せるソレ家のキャストは、ほとんどが実際にカタルーニャの村に住む演技未経験の人々。監督のカルラ・シモンが「実際にこの地で農業を営み、土地を失う意味を理解できる人たちに演じてほしい」と考えたことから、参加者9,000人を超えるオーディションを実施。オーディションを経て集められたキャスト陣は演技を通してともに多くの時間を過ごし、少しずつ関係性を構築。最終的には普段から役名で呼び合うなど“本当の家族”のような絆を築き上げたという。
大家族で桃農園を営むソレ家。例年通り収穫を迎えようとした時、地主から夏の終わりに土地を明け渡すよう迫られる。桃の木を伐採して、代わりにソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。父親は激怒するが、妻と妹夫婦はパネルの管理をすれば「楽に稼げる」という囁きに心を動かされる。賭け事に懸けようとする祖父、取り付く島のない父、資金稼ぎに畑の片隅で大麻栽培を始める長男など、てんでバラバラに桃園の危機を何とかしようとするが、大げんかになってしまう。桃の香りの風に吹かれる中、一家はどのような“最後の夏”を過ごすのか。
【詳細】
映画『太陽と桃の歌』
公開日:2024年12月13日(金)
監督・脚本:カルラ・シモン
出演:ジョゼ・アバッド、ジョルディ・ プジョル・ ドルセ、アンナ・ オティン
原題:ALCARRÀS