アンダーカバー(UNDERCOVER)が2015年春夏コレクションを、2014年9月26日(金)にパリで発表した。
会場に辿り着くと、そこには艶々と輝く巨大なチェリーが7つ、ランウェイの中央にゴロゴロと並べられていた。いくつかのオブジェをよく見ると、スカルの顔が彫られていて、二度驚かされる。先シーズン登場したリンゴ型のルームライト、「ギラップル」が記憶に新しいが、またもやアイコニックなアイテムが登場するのだろうかと予感させた。
かすかに聞こえる鳥のさえずりとノスタルジックな女性ボーカルの歌声が響き、ショーは幕を開ける。最初にプリンセスラインの可憐なドレスルックが姿を現し、ピンク、ライトグリーン、イエローと続く。オートクチュールのような装いは、デコルテから首回りにシャツを着ているような襟と前立てがあしらわれ、遊び心が感じられる。しかしそんな可愛らしいドレスとは裏腹に、背中には黒い羽根を背負い、ダークな色で目元を強調した姿は、黒鳥に扮するバレリーナのようだ。
そこから、ショーはおとぎ話のような世界観で展開されていく。前半はバレエ衣装そのものとも言えるラベンダーカラーのチュチュ、シースルーを重ねたフェアリーなドレス、ライトブルーのホルターネックドレスなどが、幻想的なオーラを漂わせる。イノセントな魅力をもつドレスは、ペティコートのようなスカートを覗かせているのがポイントだ。
その後披露されたアウターに、観客はさぞ驚いたであろう。羽根のような装飾がなされたベージュのノーカラージャケットは、左胸には鏡のような楕円形のモチーフがあり、その中にアニメーションが映し出されているのだ。“映像つき”の上衣は、本コレクションにいくつか登場して視線を集めた。その他にも、ブルーのトレンチコートやステンカラーコートには、リンゴ型のクリア素材が左袖にポイントであしらわれているなど、細かな部分も見どころは尽きない。またチェリーモチーフのバッグや映像が流れるクラッチ、いくつも重ねたピンクのバングルやリング、ネックレスなどファッショニスタにはたまらないであろうアイコニックな小物も実に豊富だ。
個性豊かな柄も特筆すべき点である。絵画をそのまま用いたようなドレスルック、、カラフルな総柄のブルゾンやスカート、木目調のスカートなどランウェイは賑やかな模様で彩られた。
そして後半は、とてつもなく大きな羽根つきのドミノマスクをつけたモデルたちが出現。袖がシースルーやフェザーになったライダースジャケットに、ボリューミーなロングスカートを合わせた出で立ちには圧巻。ラストはオールブラックの装いを続けて披露し、夢から覚めるかのようにショーは幕を閉じた。