展覧会「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」が、東京・原宿のワタリウム美術館にて、2025年4月8日(火)から6月22日(日)まで開催される。
鴨治晃次(かもじ こうじ)は、ポーランドを拠点に活動を続けてきた美術家だ。1935年東京に生まれた鴨治は、1959年にポーランドへと渡り、現在にいたるまで画家、インスタレーションやオブジェの作家として活躍してきた。その創作は、西洋とポーランドの戦後美術に加えて、日本の伝統から大きな影響を受けている。
「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」は、鴨治の活動を紹介する、日本初の本格的な展覧会。1960年から現在までに制作された、約20点の絵画、9点の立体作品、3点のインスタレーション、そして80点のデッサンを展示する。
鴨治の初期の制作を代表するのが、「お寺の壁に」シリーズや《ラグーン》など、「プルシュクフ絵画群」と呼ばれる絵画作品である。1960年代半ばに制作された「プルシュクフ絵画群」は、彩色を施した板に穴を開けた、レリーフのような作品であり、鴨治の作品に共通する素材のシンプルさが顕著に現れたものとなっている。本展では、《お寺の壁に》や《虹》といった作品を目にすることができる。
また、抽象絵画を設置した空間で、中央に石を置いたインスタレーション《二つの極》は、日本の伝統から影響を受けたという作品。同作は、石の存在を絵という平面に移すことを試みるなか、石を設置する「正い位置」、「正しい場所」を見出す探究の過程から生まれたものとなっている。
さらに、2011年から2015年にかけて制作された一連の《デッサン》は、紙、筆、墨と白い絵具のみを用いて、もっとも簡潔な手法と形を追求した作品だ。これらの作品は、墨という日本の伝統的な画材を用いるばかりでなく、ヨーロッパの抽象画の起源や芸術における精神性の探究にも関わるなど、日本の伝統とヨーロッパの美術に触発された鴨治の創作を反映するものだといえる。
展覧会「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」
会期:2025年4月8日(火)〜6月22日(日)
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)
入館料:大人 1,500円、大人ペア 2,600円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上 1,300円、小・中学生 500円
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者および介助者(1名まで)は、各1,300円
【問い合わせ先】
ワタリウム美術館
TEL:03-3402-3001