展覧会「ル・コルビュジエ—諸芸術の綜合 1930-1965」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2025年1月11日(土)から3月23日(日)まで開催される。
近代建築の巨匠として知られるル・コルビュジエは、絵画といった視覚芸術においても革新をもたらした。美術学校在学時より画才に秀でていたル・コルビュジエは、1918年より約10年間、幾何学的な構成による「ピュリスム」の絵画を制作。1930年以降の円熟期には、午前には絵画を手がけ、午後には建築の仕事を行っていたという。
「ル・コルビュジエ—諸芸術の綜合 1930-1965」展は、ル・コルビュジエ円熟期の創作に焦点を合わせる、日本初の展覧会。ル・コルビュジエが1930年以降に手がけた絵画や彫刻、素描、タペストリーなど、約90点の作品を展示するとともに、ハンス・アルプやワシリー・カンディンスキーといった同時代の芸術家の作品をあわせて展示することで、芸術の流れにおけるル・コルビュジエの位置を浮かびあがらせてゆく。
1930年代のパリでは、抽象絵画から、未知の世界に目を向けるシュルレアリスムの絵画へと、人々の関心が移行した。その背景には、1929年の世界恐慌のもと、それまでの機械万能主義から、自然への関心へと価値観が転換されたことがあった。ル・コルビュジエもまた、それまで実践してきたピュリスムの幾何学的な構成から離れ、貝や骨、流木など、有機的な形態を建築や絵画に取り入れている。本展の序盤では、シュルレアリスム的な表現で描かれた《レア》など、自然界への関心のもとに手がけられた作品を紹介する。
ル・コルビュジエ円熟期の創作のキーワードが、建築のもと、絵画や彫刻といった諸ジャンルを繋ぐ「諸芸術の綜合」である。ル・コルビュジエにとって、絵画、彫刻、建築、あるいは都市計画とはいずれも、ひとつの事がらをさまざまなかたちで表現したものであったのだ。会場では、自ら「音響的形態」と呼んだ木彫作品《手》や、絵画を立体化した同作の曲面的な造形を取り入れた建築《ロンシャンの礼拝堂》などに光をあてる。
ル・コルビュジエは、2度にわたる世界大戦を経験したものの、近代以降の西洋で展開することになった、人間の進歩が永続することを確信していたという。本展の後半では、人間の生命力と精神の進化を象徴的に表した「牡牛」シリーズの集大成、《牡牛XVI》と《牡牛XVIII》、未完の遺作《牡牛》を3連画として展示する。
展覧会「ル・コルビュジエ—諸芸術の綜合 1930-1965」
会期:2025年1月11日(土)~3月23日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F
開館時間:10:00~18:00
※2月7日(金)、3月7日(金)・14日(金)・21日(金)・22日(土)は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分まで
休館日:水曜日(12月11日(水)は開館)
入館料:一般 1,200円、65歳以上 1,100円、高校・大学生 700円、中学生以下 無料
※土・日曜日、祝日は日時指定予約制(当日空きがあれば入館可。平日は予約不要)
※障がい者手帳を提示者および付添者1名までは無料
※本展は、ル・コルビュジエ財団の協力のもと開催される。
※画像写真の無断転載を禁ずる。
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