ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)のデザイナー、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)が2014年12月に来日した。
ヌメロ ヴェントゥーノといえば毎シーズン、ミラノで発表されるコレクションはもちろん、最近では世界初の旗艦店を表参道にオープンしたことが記憶に新しい。2009年にデラクアがスタートしたメゾンのウィメンズコレクションは、リュクスな素材で魅せるセンシュアルなフェミニニティが好評を得ている。
今回はデラクアの来日に伴い、彼が率いるヌメロ ヴェントゥーノというブランドの魅力を探るため、今年オープンした表参道の旗艦店でインタビューを実施。最新コレクションはもちろん、日頃からインスピレーションを受けているもの、メゾンに対するこだわりなどを聞いた。
インスピレーションは、ボヘミアンなグランジ。ロングドレスといったボヘミアンスタイルでありながら、そこにタータンチェックだったり、赤や黒のニットウェアだったりとグランジをミックスさせています。私はこういった、コントラストが好きです。
またコレクションでは、ブルジョアなイタリアの雰囲気と、イギリスのパンクなアティチュードが融合されています。
シューズはコレクション全体とは、まったく異なるイメージから生まれました。ビッグリボンはクリスチャン ラクロワ(Christian Lacroix)のオートクチュールからヒントを得ているほか、エルザ スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)のシュールレアリスムも影響しています。
アイデアのもとは、オートクチュールです。サテン素材や色合いは、クチュールのようですよね。ここでもグランジとの対比が表現されています。
ロッセリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカなど、40年代~50年代のイタリアのネオレアリズモ映画が好きです。あとは、新しい年代のアメリカ映画やイギリス映画も気に入っていて、それぞれの作品の要素をミックスするのも好きですね。
でも60年代から70年代の、イタリア映画に惹かれることが多いと思います。
映画の中に登場する男女は、当時にしかないイタリアン・エレガンスを感じさせるからです。私はとてもイタリアらしい雰囲気が好きです。例えるなら、モニカ・ヴィッティ(Monica Vitti)やシルヴァーナ・マンガーノ(Silvana Mangano)といった60年代に活躍したイタリアの大女優といえる人。
私は彼女たちのセクシーな雰囲気に惹かれます。センシュアルでありながら、無意識にそれを感じさせるところです。
これは私のラッキーナンバーです。誕生日の数字なのですが、迷信のようなものがあって。あとは、アレッサンドロ・デラクアというブランドの新時代(21世紀)のような意味があります。生まれ変わりのような存在です。
コレクションにおいて、私はまず「素材」から考えます。
たいてい刺繍や贅沢なブロケードなどエレガントな素材を使うのですが、そこに対照的なジャージ、ラフなニットなどを合わせ、コントラストを生み出します。
大切なのは、リッチなものに対照的な素材を組み合わせること。コレクションにおいて、まずはコントラストがあるかどうかを考え、そして素材を選び、その後コンセプトが決まります。
それからコレクションでは、レースや刺繍、シフォンも使います。私にとって、やはり「フェミニニティ」はとても重要な要素です。なのでそれを強調するために、マスキュリンな素材をコントラストとして使うのです。
はい。ツイード、プリンス オブ ウェールズといったクラシックな紳士服に使うような生地です。でもそういった素材を、男性的なものとは、まったく異なるイメージに仕上げるのです。