ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)の2016-17年秋冬コレクションが発表された。今季のテーマは「ポストモダン」。ここ数年“建築”からインスピレーションを得る姿勢は継続され、2名のポストモダニズム建築家ダニエル・リベスキンドとディオニシオ・ゴンザレスの作品から着想を得た。
歴史的建造物をベースに、現代的な建築を用い改築、折衷する姿勢。また平面的な額縁をラッフルのように立体的にし、スタンダードな概念に新たな違和感を与える。そんなテクニックにインスパイアされ、定番アイテムにひねりを加えることで、コンテンポラリーな雰囲気に仕上げた。
ガーメンツは全体的にオーバーシルエットで、メンズライクな空気感が漂う。ただし、ゴンザレスの作品からインスパイアされたであろう、大ぶりで奥行きのあるラッフルや、繊細なプリーツ、そしてボタンの開け閉めで生まれるスリットにより、絶妙なフェミニティを引き出した。
ヤストシ エズミが得意とするニットは、ドロップショルダーのシルエットと、手の凝った建築的なディテールが特徴。存在感のあるフリンジが大胆にあしらわれたもの、切り込みのデザイン、そして斜めに切り替えが入った個性的なものなど多種多様だ。
存在感を放つアウターはまさに「折衷」というワードがぴったりはまる。ラムレザーとウールの異素材ミックスが目を引くライダース、まるでMA-1とウールコートを掛け合わせたような再構築的なアイテムが登場する。一見個性的だが、品のあるカラーパレットや素材感によって、心地よさを兼ね揃えた“デイリーモードウェア”が完成した。