ディオール(Dior)は、2016-17年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表した。パリ・ファッション・ウィーク4日目の2016年3月4日(金)のことである。
新たな境地へとたったディオールは、ルーヴル美術館の中央にショー会場を設けた。500平方メートルの敷地を鏡面仕上げのパネルが囲み、周辺美術館の壁面を反射させた不思議な空間。フューチャリスティックで芸術的なこのランウェイで、最新ルックが披露される。
スタートダッシュを切ったのは、ブラックのスーツスタイル。“紙のように薄い”と評されるそのテキスタイルは、特有の個性を打ち消した軽やかさがある。ヘムラインは遊びを効かせプレイフルに。左側に向かって波打つようにドレープを施し、サイドに向かってのびたラインが、儚く上品な余韻を残していく。
コレクションが進むにつれて、豊かな色柄が顔を出してくる。鮮やかな青、赤、橙で描かれたレオパードや抽象的な模様。それらは、ムッシュ・ディオールからインスピレーションを受けたというパターンで、ジャカードや刺繍など、あらゆる手法で映し出される。またフラワーは、ビジュー刺繍となり華やかにデコレーション。胸元やショルダーラインに流れるように配されたフリルも、咲き誇る花々を想起させ、全体を活気づける。
装いのキャラクターを決定づけるのは、首元に委ねた。ときに、内側のファーやビジューを覗かせたり、シャツやジップ付きトップス、またあるときは、ぐっと襟元を開けて、潔く肌をみせたりして。こういった不規則でエキセントリックなアプローチは、観るものを驚かせる。注目のニューバッグは、クロコダイルを組み合わせた、ゴージャスな仕上がりで、2~3個重ね持ちで提案されている。