今回は特別に、その製造過程も案内してもらうことができた。工場には50人の職人達が勤務しており、訪れた時間帯は30人程度が働いていた。それぞれの持ち場には家族の写真が置いてあり、アットホームな雰囲気。1枚の革が、慎重に切り取られ、次の行程のために処理が施され、重ねられ、縫われていく。最高の革から、職人の手によって最後のポリッシュ(研磨)まで丹念に行われ、美しい靴達が生み出されていくのだ。
職人の方々に靴づくりについて質問してみると、皆揃って品質へのこだわりを第一に挙げてくれたことに驚かされた。ユアンさんが最初に聞かせてくれた、ブランドの歴史を支えてきた信念が、靴づくりに携わる一人一人に浸透しているのだ。「革は生き物で、厚さが不均一だったり色むらがあったりしますので、私の目で確かめながら、品質に妥協せず、それぞれのパーツに適した部分を切り抜いていきます」と職人の一人が話してくれると思えば、もう一人も「革と革が重なった時に余計な厚みがでないように、私が革の縁をけずっています。いつも手でパーツの感触を確かめながら行っています」と答える。エドワードグリーンの靴づくりに対する彼らの誇りこそが、エドワードグリーンの偉大な歴史を支えてきたのだ。
時代とともに変わることもあれば、守り続けたい価値もある。不変のブリティッシュエレガントを現代に届けるエドワードグリーンは、大いなる遺産の継承者である。
エドワードグリーン公式サイト:
http://www.edwardgreen.jp/
Interview and text by Mikio Ikeda