プラダ(PRADA)が、2018年春夏コレクションをイタリア・ミラノで発表した。
今シーズンのプラダは会場からコミカルだ。ジェームス・ジーンと オリー・シュローヴェンによるコミックが、壁面、天井、床にまで巡らされた内観は、来場者全員をその物語の登場人物にした。
洋服だってそうだ。シャツ、カシミヤニット、さらにはバッグやベルトといった小物まで物語は描かれる。目からビームを出す猿、コラージュされたモチーフ、コマ割りで描かれたアニメーション……。バーチャル世界が隅々にまで広がっている。
テーマはおそらくSFとか、近未来的な何か。明確にはわからないが、後から後へとパイロットスーツが繰り出される。プラダがシグニチャーにしているワーキングユニホームが、今季はこの形で表現されたのだろう。このスーツは種類が豊富で、ウォータープルーフのボンディング素材に止水テープを施したものがあれば、かたやシルキーなナイロンを使用したパジャマっぽいものもある。
一方で、定番スーツは近未来的にアレンジし、キャッチーなカラーリングに、黒のストライプをアクセントとした。スーツに合わせるドレスシューズも、今季ばかりはどこか戦隊物アニメっぽく、先の尖ったフォルムに穴飾りが不規則に配されている。
スタイリングには意外とクラシカルな要素もあって、50年代を彷彿とさせるボックス型のウールコートなども登場する。ポプリンストライプのシャツは重ねて、先に紹介したフューチャリスティックなツナギに合わせてしまうのだから驚きだ。
カシミアニットのカーディガンも、ケミカルなパンツにタックインして、新鮮すぎる違和感で遊ぶ。プラダらしい遊び心が効いたスタイリングは、ひとつのルックの中でタイムスリップを何度もさせてくれるようで、着る方も見る方もその物語を楽しめる。