ウォルター ヴァン ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)が、2018年春夏コレクションをパリ・ファッションウィーク初日の2017年6月21日(水)に発表した。
洋服というより、もはや芸術品。ウォルター ヴァン ベイレンドンクの洋服は、思い思いの装飾から完成する。今シーズンの芸術品は、人間の体に向き合ったフォルムが特徴的だった。
人体に向き合った洋服に、ブランド定番ともいえる“顔”が現れる。シャツやジャケットのフロント、いわゆる比較的平らな部分にのせられた顔は、コラージュでできている。胴体からはみ出るまでの大作はまさに現代的キュビズム。ひとつひとつのパーツを分解し、単純化させたものを再構成するという技を服の上でトライしている。
多角的視点から捉えた平面に対して、本来人間の体の部位で立体的なところは、より強く表現したのだろう。コートやブルゾンの袖は分離され、肘のところが横から見ると半月状であるほどに突出している。膝も同じく強調され、ワイドパンツは横から見ると半月状。さらに筋肉や骨などを装飾として活かしたのか、肩パットはジャケットからはみ出ているし、ボディースーツのようなトップスは、胸筋や腹筋部分にパットのようなものが装着されている。
そして、これらをさらに深化させたのが多彩な素材で魅せたスタイリング。トラッドなチェック柄に、サイケデリックなグリッター、テクニカルなナイロン、フューチャリスティックな箔に至るまでが現れる。中でも、レーシングスーツにスラックスやMA-1を合わせるというのは予想だにしなかった組み合わせだ。こうした奇想天外な発想の中で、ボトムスとトップス、そしてシューズの中で絶妙なバランスをみせ、今季の芸術品をモダンに昇華している。