展覧会「ミケランジェロと理想の身体」が、2018年6月19日(火)から9月24日(月・休)まで、東京・上野の国立西洋美術館にて開催される。
ミケランジェロ・ブオナローティは、彫刻、絵画、建築の各分野で名をなし“神のごとき”と称されたイタリア・ルネサンスの芸術家だ。多彩な分野にわたるミケランジェロ作品の中でも注目したいのは、ミケランジェロ芸術の神髄である彫刻。「ミケランジェロと理想の身体」では、世界に約40点しか現存しないミケランジェロの大理石彫刻のうち、傑作《ダヴィデ=アポロ》が日本初公開となる。
その他、ルネサンスと古代ギリシャ・ローマの大理石およびブロンズ彫刻、壁画、油彩、素描、陶器など、日本初公開を含む作品約50点が集結する。様々な切り口から男性美の表現を捉えるとともに、ミケランジェロに影響を与えた古代作品、そしてミケランジェロから影響を受けたルネサンスの作品を紹介。古代とルネサンス期における理想の身体美の表現に迫る。
日本初公開となる《ダヴィデ=アポロ》は、そのモチーフが聖書の英雄ダヴィデか、ギリシャの神アポロか解釈の分かれる彫刻作品。両者とも必殺技を飛び道具としているが、作品の飛び道具の正体は明かされないままとなっている。
《ダヴィデ=アポロ》に見られる身体の重心を片側にかけた体勢の「コントラポスト」は、古代ギリシャ彫刻の古典的なポーズ。しかし、重心と動きを対角線上に表現する古代の規範とは逆に、重心を置く足、動きのある腕はどちらとも左側となっている。大きく振り上げた左腕によって上半身がねじれ、前に右足を突き出して身体全体で螺旋を描く。頭から足元にかけての緩やかなS字カーブのような造形が、しなやかな美しさを表している。
制作途中でミケランジェロがフィレンツェを離れ、あとに残された《ダヴィデ=アポロ》。表面に残された無数のノミ跡が、ミケランジェロの彫刻技法の秘密を物語る。「どんな石の塊も内部に彫像を秘めている。それを発見するのが彫刻家の仕事だ」と語ったミケランジェロにとって、彫られるべき内部の像は、すでに彫り出されていたのかもしれない。未完なのか、実は既に完成しているのかも、謎のままだ。
ミケランジェロと理想の身体
会期:2018年6月19日(火)~9月24日(月・休)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
住所:東京都台東区上野公園7-7
休館日:月曜日、7月17日(火)
ただし、7月16日(月・祝)、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、9月24日(月・休)は開館
時間:9:30~17:30(金、土曜日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1,600(1,400)円、大学生 1,200(1,000)円、高校生 800(600)円、中学生以下無料
※()内は前売りおよび20名以上の団体料金
※前売券は2018年3月21日(水・祝)から6月18日(月)まで、展覧会公式サイト、主要プレイガイドにて販売(手数料が発生する場合あり)。国立西洋美術館では、開館日のみ、2018年6月17日(日)まで販売
※心身障害者および付添者1名は無料(入館時に障害者手帳を提示)