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玉森さんの演じる主人公の崇史と、染谷さん演じる智彦は研究者の一面を持っています。それぞれの役を演じる上で、実際にそういった職業の方とお会いされたそうですね。

玉森:はい。崇史という役柄をより深く理解するためには、実際にお話を聞いてみるのが一番かなって。また僕自身そのジャンルの本を買って、役作りの参考に読んでみたりしました。

それぞれのキャラクターを演じる上で大変だったことはなんでしょう?

染谷:やはりそれは“パラレルワールド”という特殊な作品設定なので、二つの世界での演じ分けに苦戦しました。

玉森:そうなんですよ。僕もこういった類のお芝居の経験がなかったので非常に悩みました。そもそも自分が“パラレルワールドってどんな世界なんだ?”っていう(笑)。

染谷:ですよね。作品の中に存在する2つの世界では撮影するカメラマンも違うし、機材や衣装も変えていて。台本もすごく特殊で、2種類用意されていたんです。謎が謎を呼んでいく、すごく計算された台本だったので、内容についていくことも大変で。“このシーンでは、ちゃんとお客さんを騙さないと!”みたいなプレッシャーは、演じる上で常にあった気がします(笑)。

染谷将太, 東野圭吾, 玉森裕太 インタビュー|写真12

『パラレルワールド・ラブストーリー』の撮影現場の雰囲気はどうだったのでしょう?

染谷:シリアスなシーンが多かったので、程よい緊張感は常に漂っていましたね。特に、玉森さんの集中はずっと切れないんですよ。常にピーンと1本筋を通してくださっていたので、そのテンションに自分も乗っかっていけたというか。

玉森:そういえば、僕演技中に現場で鼻血を出していましたよね(笑)!

染谷:そう!玉森さん、本番中に鼻血出したんですよ!しかも初日に。

撮影初日に鼻血を出されるとは、いったい何があったのでしょうか。

玉森:ものすごいシリアスなシーンだったので、ガーっとのぼせてしまったのかもしれません。自分の中で何かが抑えられなくなって……。

染谷:本当に絵にかいたように、玉森さんの鼻からツーって鼻血が流れたんです(笑)。「自前の鼻血出したこの人……」って衝撃を受けました。これまででそんな役者さん初めて見たので。

玉森:僕が鼻血を出したときの染谷さんの顔は一生忘れられないと思います(笑)。

染谷将太, 東野圭吾, 玉森裕太 インタビュー|写真6

それほど玉森さんご自身張りつめた状態でもあったんですね。

玉森:正直不安やプレッシャーとの闘いでした。毎日が挑戦で、役に没頭して自分を追い込み、撮影がない日もずっと崇史を意識していました。それから撮影と並行してアイドルの仕事もしていたので、撮影と仕事で頭が一杯になった時期もあります。

染谷:普段は同じ現場にいるので意識しないのですが、撮影後に、家でTVを付けたら歌って踊る玉森さんが映し出されていたりするんですよ。「おい、崇史!(笑)」って思う反面、役者とアイドル、2つの顔を同時に持ちながらも活躍される玉森さんは、純粋にすごいなって。僕自身もっと頑張らなきゃなって、玉森さんの姿からすごく刺激を受けていました。

玉森:震えあがっちゃいますね……すてきなお言葉で恐縮です。けれどあの時は本当に、僕自身追い詰められていた時期だったと思います。

そんな状態の玉森さんを見て、Kis-My-Ft2のメンバーから何か声をかけられたりしましたか?

玉森:いや、メンバーはもう十何年も一緒にいるので、いちいち何か言ってきたりはしないです。考え事かな、ぐらいで。もしかしたら周りのスタッフさんには機嫌が悪いのかな、とか思われていたかもしれないですね。

染谷将太, 東野圭吾, 玉森裕太 インタビュー|写真4

一方で、染谷さんもずっと緊張したままの状態で、撮影期間を過ごしていたのでしょうか。

染谷:緊張感の中で逆に冷静になれなくなると怖いので、談笑したりして、たまに自分をリラックスさせようとする時はありましたけど、基本的には現場のテンションに乗っかっていたと思います。森監督の現場って、走り出すとそのテンションのままずっと走り続けると言いますか、監督自身も同じテンションのまま途切れないでいるんですよね。だから僕も自然にそうなっていったのだと思います。

そんな現場での苦悩を乗り越えて完成した映像を見た感想は?

染谷:最後までハラハラドキドキの連続でした。最初、山手線が走り出すところから始まるんですけど、ストーリーも山手線のように止まらないんですよね。ずっと走っていって惑わされていく、この感覚を是非皆さんにも体感してほしいです。

玉森:僕は物語を全て理解できたときにすごく気持ち良かった。見ているとすごく頭を使うと思うんですけど、理解できた時のこの気持ちを共有できたらいいな、と思います。ぞわぞわするようなリアルさが、直球でぶつけられていくような感覚を、ぜひ見て味わってほしいです!

主題歌は宇多田ヒカル「嫉妬されるべき人生」

『パラレルワールド・ラブストーリー』の主題歌は、宇多田ヒカルのアルバム『初恋』に収録された「嫉妬されるべき人生」。宇多田ヒカルならではのサウンドの切れ味や奥深い歌詞の世界観が、監督・森義隆がラストシーンに込めた思いと共鳴したことから、オファーが成立したという。

『パラレルワールド・ラブストーリー』ストーリー

ある日突然、崇史(玉森裕太)が迷い込んでしまった2つの世界。1つの世界は、愛する麻由子(吉岡里帆)と自分が恋人同士。しかし、もう1つの世界では麻由子が親友の智彦(染谷将太)の恋人に・・・。混乱する崇史の前に現れる、2つの世界をつなぐ【謎】の暗号。目が覚めるたびに変わる世界で、真実にたどり着けるのか?

『パラレルワールド・ラブストーリー』詳細

『パラレルワールド・ラブストーリー』
公開日:2019年5月31日(金) 全国公開
出演:玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太、筒井道隆、美村里江、清水尋也、水間ロン、石田ニコル、田口トモロヲ
原作:東野圭吾(講談社文庫)
監督:森義隆
主題歌:「嫉妬されるべき人生」宇多田ヒカル(Epic Records Japan)
脚本:一雫ライオン
製作:「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会
配給:松竹

©2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会 ©東野圭吾/講談社

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