グリーンのベルベットをベースとしたナポレオンジャケットに、赤いウールのフレアスカート。この衣装は、ビクトリア朝時代のオモチャの兵隊がインスピレーション源だという。ビーヴァンは、この制服を創作するため、女性兵士の制服をリサーチしたそうだ。当時の女性軍人たちは戦闘に参加せず、裏方としての任務に従事する傾向が強かったそうだが、それに反してクララは先頭にたち続ける。エレガントなドレスの時とは違う精悍な出で立ちは、物語のカギを握っているかも。
物語のクライマックスには、もうひとつ重要なドレスが登場する。どの衣装よりも繊細で幻想的。そして、ヴィクトリア朝時代ならではのエレガントさと優雅さに満ちている衣装だ。
このドレスには、127枚の細い布、300メートルを超えるスパン・ゴールドとシルバーの糸、そして1800個のスワロフスキーを使用しただけでなく、約1400個のLEDを仕込んだ。作業員として13人を動員し、約350時間かけて製作したという。「小さな女の子なら誰もが憧れるようなドレスにしたかった」という想いのもと完成したマジカルなドレスは、是非スクリーンで。
ジンジャーブレッドの建物やキャンディの装飾があり、人々から愛されている“お菓子の国”。その国を統治する妖精がシュガー・プラムだ。砂糖の結晶のようにきらめくドレス、綿菓子のような髪、陶器人形のような美貌。シュガー・プラムの衣装は、粒々のついた奇妙なロシアのドレスを発想に、ピンク・パープル・シルバー・ゴールドのメタリックのオーガンザで幻想的に再現した。
全衣装のなかでも最もボリュームがあり、最も時間がかかったというドレスは、通常のドアは抜けられず、さらにドレスを着たままでは座ることすらままならなかったそうだ。
演じるキーラ・ナイトレイが動くたび全体が跳ねるように上下する仕組みも、ビーヴァンのこだわりのひとつ。「あのドレスには多くの動きをつけたかったので、小さな襞のついた扇をたくさん重ねるようにして作っています・・・おそらく200はあるでしょう。それを作るためには、ものすごい量の布地が必要でしたよ!」と製作について語っている。
ビーヴァンは、本作の衣装を製作し、次のようなコメントを残している。
衣装はまさに、彼女らをファンタジーの世界へ連れて行くためのツール。いつでも、1番大事なのは、ストーリーをきちんと語ること。脚本があり、監督から希望を聞き、プロダクションデザイナーと話し合いをして、そこからアイデアを考えていくの。デッサン画を描いたりしながらね。これは衣装デザイナーにとって夢みたいなプロジェクトだったわ。
彼女のこだわりの詰まった衣装が彩るファンタジーの世界。映画『くるみ割り人形と秘密の王国』は、2018年11月30日(金)より公開だ。
【詳細】
映画『くるみ割り人形と秘密の王国』
公開日:2018年11月30日(金) 全国公開
監督:ラッセ・ハルストレム、ジョー・ジョンストン
出演:マッケンジー・フォイ/キーラ・ナイトレイ/ヘレン・ミレン/モーガン・フリーマン
原題:The nutcracker and the four realms
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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