しかし、アメリカ軍に代わって、企業が宣伝の一環としてMA-1を取り入れるようになり、MA-1は多彩なデザインに発展する。機能性を追い求め、シンプルであることがよしとされた従来のモデルとは変わって、映画タイトルや企業名があしらわれたデザインが登場。カラーも、セージグリーンだけでなく、ブラック、ブルー、イエローなど様々な色彩が取り入れられた。
そして、MA-1ジャケットをセンセーショナルな存在として押し上げたのは、映画『トップガン(Top Gun)』の存在だ。1986年公開のアメリカ映画であるが、日本でも洋画配給収入1位を記録。トム・クルーズ演じる、アメリカ海軍の戦闘機パイロットの主人公ピート・ミッチェルの青春群像を描いた航空アクション映画は、今なお色褪せず多くのファンに支持されている名作。作品の中でトム・クルーズは、ワッペンのたくさんついたフライトジャケットを纏い、大振りのブラックサングラスをかけて登場している。
2000年代に突入すると、アルファ インダストリーズは米国軍のためのメーカーではなく、一般層向けのミリタリーブランドとして変化を遂げていく。これまで過去50年間で生まれた代表的な衣類のレプリカを製造したり、ストリートウェアとして着用可能なアウターウェアを展開。
また、“着る側”にも新しい波が生まれる。MA-1=ミリタリー愛好家のものといったイメージは薄まり、デイリーワードローブの一貫として取り入れられていくようになる。
現在、アルファ インダストリーズでは、米軍空軍兵であることの照明だった人物証明書を想起させるパッチを配したモデルやU.S.Aのバックエンブロイダリーを配したモデルなど、50年もの長い歴史を踏襲した様々なデザインのMA-1を発売。2018-19年秋冬コレクションでは、カモフラージュ柄を全面に配した、大胆なデザインも提案している。もちろん、オリジナルモデルのセージグリーン×オレンジライニングのクラシックなデザインは、定番モデルとして販売されている。
MA-1そのものも、着やすさを追求し縫製の面を改良。袖口や襟元に配されていたウールリブは長持ちしないため、ウール100%ではなくアクリルのリブを代用。また、ポリエステルの中綿は、キルト加工の長繊維ではなく、キルト加工されていない短繊維に変わった。
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アルファ インダストリーズ
TEL:0120-008-503