メルボルン発のコスメブランド「Aēsop(イソップ)」が、アムステルダムを拠点に活躍するボディ・アーキテクト(人体を素材として用いたデザインを手がけるアーティスト)であるルーシー・マクレー(Lucy McRae)とのコラボによる初のショートムービー、「モルフェ」を制作した。この作品の公開と共に、イソップはオフィシャルウェブサイトをリニューアル。新しくなったサイトでもムービーを見ることができる。
URL:www.aesop.com
オーストラリアで生まれ、バレエや建築を学んだマクレーは、体が持つ魅力にとりつかれ、やがて、「ボディ・アーキテクト(肉体の建築)」という新たな道を切り開いたアーティスト。長年に渡り、テクノロジーと人体の関係をテーマに、あっと驚くような作品の数々を生み出してきた。それらは魅惑的でありながら、少しドキッとさせるような美学で味付けされている。イソップは、そんなマクレーの挑発的な作風に共感したのだという。
「モルフェ」はサイエンスとビューティーの新たな融合の形を遊び心たっぷりに予感させる。舞台はイソップの研究室をイメージした空間。撮影にアムステルダムにある古い教会を使い、細部にまでこだわった演出は必見だ。作品中では、研究熱心な科学者が、各種のジェルやリキッド、そして、奇妙な機械を使って、眠っている美女に秘密の美容術を施す。
インスピレーション源は、19世紀の科学者であり哲学者であったヘルマン・フォン・ヘルムホルツと、人間の知覚に関する彼の画期的な研究から得たもの。つまり、この作品では、イソップの製品と同じく、科学と自然の絶妙な融合がテーマとなっている。
「私が提案したかったのは、単なるスキンケアを超越した、世界の内側への旅です。人間の体が知覚する風景より、もっとずっと遠く、深い認識領域を呼び覚ます旅とも言えるでしょう。この世界の端で、皮膚や髪は新たな超感覚美容術を受ける幸運に恵まれ、女性にとって重要な役割を果たしているのです」
ルーシー・マクレー
【アーティストプロフィール】
ルーシー・マクレー(Lucy McRae)
マクレーの作品のキャンバスとなるのは人体。彫刻、建築、科学、ファッションデザインといった分野にまたがった芸術領域にある彼女のプロジェクトはいずれも、人体の生来の構造を操作することで、まったく新しい解剖学的形態と装飾性を創り上げている。彼女の作品は、催眠術のような強烈な魅力を持つ。人体という、生きている素材に別世界を思わせる物質を貼り付け、注入し、まとわせる。そうして生まれたものは、美しいまでの不完全さを持つ新たなボディ。その作品には、彼女のクリエイティブに特有の、一度見たら忘れられない、理屈抜きのリアリズムが染みこんでいる。
これまでの彼女のコラボレーションは、合成生物学者シェレフ・マンジーと共同開発した「飲む香水」、「Skin: フィリップスデザイン『プローブ』プロジェクト」展に展示された、感情によって色が変わる服の制作、そして、ポンピドゥー・センター、アメリカンヴォーグとのプロジェクト、ビカミングトランスナチュラルキャンペーンなどがある。