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松山ケンイチにインタビュー“人生をどれだけ楽しんでいるか”が役者の仕事に反映される

俳優・松山ケンイチが、オリジナル劇場アニメーション映画『プロメア』で、声優に挑む。演じるのは、主人公・ガロ・ティモスだ。

松山ケンイチ インタビュー|写真2

松山は2002年、日本テレビ系テレビドラマ「ごくせん」で俳優デビュー。その後『男たちの大和/YAMATO』で第30回日本アカデミー賞 新人俳優賞、『デスノート前編』で第30回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。

以降『デトロイト・メタル・シティ』『カムイ外伝』『ノルウェイの森』など話題作に次々と出演。2012年にはNHK大河ドラマ「平清盛」で主演を務めた。

ガロ・ティモス(声:松山ケンイチ)
『プロメア』より
©TRIGGER・中島かずき/XFLAG
ガロ・ティモス(声:松山ケンイチ)
『プロメア』より
©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

近年は主演を務めた映画『聖の青春』で体重を20kg増量するなどストイックな役作りも話題に。人気コミックを実写化した『聖☆おにいさん』では個性的なキャラクター、イエスを見事に演じきっている。

作品ごとに演技や外見までをも柔軟に変化させ、観るものを魅了する松山ケンイチ。彼の人生の中で“演じる”ことにはどのような意味があるのか。松山ケンイチの役者論に迫った。

松山ケンイチにインタビュー

松山ケンイチ インタビュー|写真1

役者として、普段から心がけていることはありますか。

仕事抜きにして、面白い遊びをどれだけやれるかを意識しています。基本的に、まず面白い役者だなと思ってもらわないといけない。どうやったら面白くなれるんだろう?と思った時に、まずは面白い“人間”にならなきゃって。で、そのためには面白い遊びをやらなきゃいけないなと。仕事のためというよりは、自分の人生を豊かにするためという意味合いの方が大きくて、その中に役者というものがある、という感じですけど。

人生の中に、役者という仕事がある。

そうですね。その構図はすごく大事にしています。仕事ばっかりやっていると、心が貧相になっていく感じがするんですよ。

『聖の青春』より
©2016「聖の青春」製作委員会
『聖の青春』より
©2016「聖の青春」製作委員会

松山さんの人生の中で、役者という仕事はどんな位置付けなのでしょうか。

発散する場所、と言ったらいいでしょうか。たとえて言うなら、普通の人が、普段カラオケで発散するようなものを芝居で発散する。

普通の人は仕事でため込んだことをプライベートで発散しているけれど、松山さんは逆のことをしている。

そうです。どこかで発散をしないと、人間生きていけないじゃないですか。僕はそれを仕事でやる。何を食べたかで、変わることもある。だから良いものを食べたいし、そうしないと良いものも出せない。自分が何を考えて人生を楽しんでいるのかっていうことが、役者という仕事にもそのまま反映されるなと。それで、自分が面白いと思った遊びをしていこうと思うようになりました。

『ユリゴコロ』より
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会
『ユリゴコロ』より
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会

どんな遊びをしているのでしょうか。

僕は今、自然と遊ぶのが好き。釣りとか、虫取りとか、ただ風にあたるだけとか。そういうことが今すごく面白い遊びだなと思います。僕は青森出身なので、自然の中で生まれ育って、16年間暮らしました。それから東京で16年生きて。今、ちょうど半分になりました。で、たぶん自分の栄養分が切れたんだと思うんです。だから自然を欲している部分があるのかなと。

「自然」が松山さんの人生のキーワードになっていますね。

自然と反自然、どちらかに偏ってもダメなような気もするんですが、でも根っこにあるのは自然だから。僕だけじゃなくて、子供も巻き込んで自然と遊んでいると、笑っていられることも多くて。そうやって遊んでいると、自分の中で良い悪い、というのがあんまり具体的じゃなくなってきて、曖昧になってくるんです。こういう風に、物事に対して判断しないことも意識しています。できるだけ適当になるというか。

適当になることが、人生を豊かにしている。

そうです。いろんな物事に対して良い悪いで判断して、良いものばかり自分の周りに集めていても、結局その良いものの中にも良い悪いがあって…。その繰り返しになるんだったら、そういう判断無しにして、その辺にあるものと調和していく方がいいと考えるようになりました。そういう意味で適当にならなきゃなと。自分をまずとにかく楽にさせてあげないといけません。

『デスノート Light up the NEW world』より
©大場つぐみ・小畑健/集英社 ©2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
『デスノート Light up the NEW world』より
©大場つぐみ・小畑健/集英社 ©2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

自分を縛り付けていた過去があったのでしょうか。

昔はまじめで、自分を情報だとか、こうじゃなきゃいけないっていうこだわりだとかで縛っていました。今はまじめということをすごくネガティブなものだと捉えていて、とにかく自分を解放させることを心がけています。

自分を解放させようと思ったきっかけはありましたか。

我慢の限界が訪れたんでしょうね。具体的にこれというきっかけは無いんですが、子供に対して自分の都合で怒っている瞬間だったのかもしれないし、東京の景色を見た瞬間だったかもしれないし、仕事をしていた瞬間だったかもしれない。そういったことの積み重ねの中で限界が来て、自分からいろいろ降ろしていかないと、潰れていくような気がしました。

『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』より
©中村 光・講談社/パンチとロン毛 製作委員会
『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』より
©中村 光・講談社/パンチとロン毛 製作委員会

それから仕事への取り組み方も変化したのでしょうか。

スケジュールさえ合えばできるだけいろんな作品に挑戦できたらと。自分なりにここが挑戦だなっていうのを見つけてやりたい。偶然その場にあったものの中で面白いことを見つけられるか見つけられないかって、自分の感性でしかないと思うんです。その感性が貧相になっちゃうと、キャッチできそうなものがキャッチできなくなって、成長できないんじゃないかなと。

偶然出会った作品が、松山さんを成長させてくれている。

今まで出演してきた作品全てが、僕を成長させてくれていると思います。『プロメア』のガロみたいに、全身全霊でやっても乗り越えられなかった役がいくつかあって。というか、どの作品でも、突き破れるっていう実感を得られることはほとんどないんですけどね。自分の身の丈のぎりぎりのところを責めて、それをどう突き破っていくかっていうことに常に挑戦しています。

松山さんの役者としての強みは何でしょうか。

あまのじゃくなところ。みんなが右向いているところで、左向きたくなりますもん。僕、もともと性格がねじ曲がっているところがあるんです(笑)。そのことが現場や作品に良い影響を与えているかはわかりませんけど、ただ、みんな右の景色しか見えていないけど、左の景色を自分だけが知っている、っていう気持ちはあります。

松山ケンイチ プロフィール

松山ケンイチ インタビュー|写真3

俳優・松山ケンイチ(まつやまけんいち)。1985年3月5日、青森県生まれ。
2002年日本テレビ系テレビドラマ「ごくせん」で俳優デビュー。『男たちの大和/YAMATO』で第30回日本アカデミー賞 新人俳優賞、『デスノート前編』で第30回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞し注目を集める。2012年NHK大河ドラマ「平清盛」主演。その他代表作に『デトロイト・メタル・シティ』『カムイ外伝』『ノルウェイの森』『怒り』『聖の青春』『関ヶ原』『ユリゴコロ』『聖☆おにいさん』などがある。今後は映画『宮本から君へ』に出演する。

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