イクミ(IKUMI)は、2020年春夏コレクションを2019年10月28日(月)に、代官山スペースオッド(SPACE ODD)にて発表。ショーにおいて水曜日のカンパネラのコムアイがパフォーマンスを行い、ランウェイには、剛力彩芽がモデルとして登場した。
イクミが東京でショーを開催するのは約3年ぶり。「暗黒の館」と題したコレクションは、コムアイのパフォーマンスとともに“きもだめし”形式で披露された。場内に足を踏み入れると、「暗黒の館」の名前通り、至るところに逆さ吊りにされた人形がぶら下がっていたり、棚の上に顔の見えない幽霊が腰かけていたり、お化け屋敷さながらのおどろおどろしい空間演出が施されている。
また、薄暗いショー会場のフロアには、通常よりも明らかに丈の長い断ち切りのロングドレスや、フリルを幾重にも重ねたロングスカートなどが天井に吊るされており、時折光るフラッシュのような照明を受けては人影のようにゆらゆらと漂っていた。
ショーがスタートすると、極端にオーバーな仕立ての、ブラックのフードガウンに身を包んだコムアイが登場。オーバーシルエットのガウンは身体のシルエットを変容させ、コムアイが持つオーラをより一層ファンタジックに見せる。機械音に寄り添うような浮遊感のある歌声によって、フロアの緊張感を高めた。
今季のテーマは「幽霊」。ストリートの雰囲気を感じさせながら、モード感も併せ持った白/黒のウェアで、あの世とこの世を行き来するゴーストを表現した。
中でも象徴的だったのは、ジェンダーレスに着用された、華奢なキャミソールドレスだ。レースを装飾したピースや、可憐な小花をあしらったドレス、生地をたっぷりと使い、ギャザーをよせてふわりと仕上げたロングドレスなど、細やかでフェミニンなデザインが登場したかと思えば、金属のリングやスタッズを配したものや、ハーネスを思わせるようなデザインなど、繊細な雰囲気の中にもエッジを効かせたドレスも展開された。
キャミソールドレスの他にも、対照的な表現が見て取れた。セーラーカラーのワンピースや、身頃やスカート部分をフリルで飾ったミニドレス、白のサテンジャカードを用いたセットアップなど、イノセントな華やかさを強調したピースと、ハトメを並べた金属質なロングドレス、無骨な光沢感のトラックジャケットといったハードなウェアのコントラストが印象的だ。
また、身頃にあばら骨のレントゲンプリントを施したTシャツやパーカー、少しチャーミングな表情の、片目の無いスカルをダイナミックにプリントしたカットソーなど、ストレートな“幽霊”モチーフのウェアも登場。スカルプリントのカットソーは、ゆったりとしたオーバーサイズに仕立てられることで、カジュアルなポップさを強める。中には手に赤ちゃんの人形を抱えたモデルも登場し、とらえどころのない不気味さを演出した。