ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は、2020-21年秋冬コレクションを発表した。
今季は、ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースの作品と、同じくドイツの振付師・ダンサーのピナ・バウシュから着想を得ている。モンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEW YORK)とタッグを組んだグラフィカルなジャカードストールには、「Last Waltz」「Dance with Me」「Floating Emotions」といったワードが綴られており、ルックの所々に用いられることで、ヴィム・ヴェンダース、ピナ・バウシュ両名の世界観をサブリミナル的に連想させる役割を果たした。
ファーストルックで登場したのは、ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』で主人公の天使・ダミエルが羽織っていた重厚感のあるオーバーコートを彷彿させる、グレーのロングコート。ウエストにステッチでギャザーを寄せたパワーショルダーのコートは、緩急のあるフォルムながら、しなやかな生地の落ち感が手伝ってどこか静かな雰囲気をまとっている。
度々散見されるのはパールの装飾だ。ジャケット、シャツの合わせや袖口の部分にボタンの代わりにあしらわれていたり、パンツの裾やグローブの指先、レザーシューズなどにアクセントとして用いられていたり。ヨシコ クリエーション(YOSHiKO CREATiON)が手がけたパールアクセサリーも随所に登場している。パールそのものの華やかさを生かしたまま、ジョン ローレンス サリバンらしくソリッドな方法で用いられることにより、パールがアヴァンギャルドな存在感を放っている。
ピナ・バウシュの舞踊のごとく、流動的で有機的なデザインを衣服に落とし込んでいるのも印象的だ。緩やかなドレープ感のワイドパンツは、たっぷりと生地を使った流れるようなシルエットが余韻を残す。レッドやベージュのチェスターコートには、ボタン付きのスリットを配し、ボタンを開けて着ると躍動感のあるフォルムに。オーバーサイズニットは、ラフに身に着けることで不均一なドレープを生み出している。
フロントにボンデージストラップを配したパンツやジャケット、ノイジーな抽象柄のシャツなど、ジョン ローレンス サリバンのコアにあるインダストリアルミュージックやダーク・サブカルチャーなどからインスパイアされたディテールも見て取れる。鮮やかな赤1色のライダースジャケットにメッシュのカットソーを重ねた、アナーキーなルックも登場した。