Q.パリで34年間もの間コレクションを発表してきて、気付いた変化は?
面白いのは、いま日本のブティックとパリのブティックで全く同じものが売れることです。本当に一緒で「えっ?」と驚くほど。デビューコレクションの頃は全然反応が違っていましたから、雑誌やインターネットの普及で、日本もパリもファッションの感覚が同じように浸透している証拠ですよね。
世界中が一体になっていると感じていて、一緒のファッションレベルになっている。なので、パリでショーをやることにこだわらなくても、最先端のトレンドを身近に感じられるようになったなと思います。
Q.1962年から一度も休まずデザインする、そのバイタリティはどこにありますか。
やっぱり好きなんです、ファッションとモノづくりが。自分が着たいと思うかどうか、そこはずっとぶれずにデザインする際に大切にしてきました。デザインって少しの分量で、品が良くなったり悪くなったりするもの。パタンナーとコミュニケーションが上手くいっていない状況で無理してやったり、“この辺で妥協して…”と思ってしまうと「これは私のデザインじゃないわ」ってなってしまう。大切なのは、自分がこの洋服を好きだって感じられることですね。
Q.年齢を重ねていく事で、顧客様との年齢が離れたり縮まったりして悩んだ事はありませんか。
私の場合は、自分が老けて見えてしまうのが嫌なので、若々しいものを着たいって思っています。女性のデザイナーには多いことでしょうが、自分の年代に合わせた服を作っていくと困ったことが起きてしまう。
ユキ トリヰには、“ユキ トリヰ インターナショナル”ともう1つ“YT”というブランドがあります。YTは、ベーシックで品が良いオケージョンラインに対して、ユキ トリヰ インターナショナルは、着ると元気になる、若々しくなるラインでありたいと思っています。なので、その感じはすごく意識しています。
Q.ファッションデザイナーとは改めてどんな仕事だと考えますか。
皆様の「着たい」という気持ちをいつも一歩リードして、常に提供できればいいなとは思っています。やっぱり楽しむということは大事なことなので、新しいことにトライできるようなものづくりをしていきたいと考えています。
全身買えなくたって、一つ取り入れるだけで今っぽくなるようなもの。コーディネートが広がるようなもの。色々なファッションの提案ができるようなものを作ることが大事だなと思っています。
Q.ファッションの面白さはどんなところにありますか。
皆様に、楽しんで洋服を着ていただけるのが一番幸せで面白いことです。私のデザインした洋服を着ることでハッピーになってくださる姿を見るのも好き。ファッションショーで発表するときに、コーディネートの提案をしますが、顧客様が新しいコーディネートを組んで素敵に着こなしているのを見ると、おもしろいなってワクワクした気持ちになります。
昔は、モデルさんだから素敵って言うことがありましたけど、いまは違いますよ。個人個人で自由に素敵にお召しになるから。特に、ユキ トリヰはお客様の方が似合っていることが多いんですよね。
Q.最後に、ファッションデザイナーを目指す若者へのアドバイスをお願いします。
ファッションに限らず、いろんなものを見て聞いて自分の引き出しを増やしましょう。改めて、ファッションデザイナーはやりがいのある職業だと思います。