ケンゾー(KENZO) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリで発表された。新クリエイティブディレクター、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタによるデビューショーである。
野外会場での開催を行った今季、広々とした広場には透明のビニールで作られた、トンネル型のランウェイが登場。燦々と降り注ぐ太陽がビニールを通り抜け、眩しいほどの光に満ちたランウェイで、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタによる初のコレクションが幕を開けた。
コレクションの最大の特徴となるのは、メンズ同様にゆったりとしたロング丈を基調としていること。膝丈まで伸びるロングニットに、地面に伝うかのようなロングコートは、いずれもモデルの体躯をすっぽりと包みこむようなオーバーサイズで、男女の性差を感じさせないジェンダーレスなデザインに仕上がっている。
またそれらのワードローブは機能性も重視。つばさのように広がるパーカー、寝袋にもなるダウンジャケット、まゆのように軽くジッパーで広がるドレスなどが登場。またアウター類も、複数のジップが施されており、アレンジ次第で形を変容させることができる。
少年時代にアゾレス諸島で過ごした夏の日々を、今季の着想源のひとつにしたフェリペ。コレクションの中には、その島での美しい思い出を物語るようなモチーフも登場。バラの騙し絵からなるカモフラージュ柄や、自然を駆け巡るような馬のプリントが、フード付きジャケットやキャップといったアイテムに姿を現した。
ケンゾーへのオマージュを捧げる、アイコニックなタイガーも登場。ニットやロングコートに現れたそのモチーフは、時に鮮やかに、時に抽象絵画のように、そして時には水彩画のようなアプローチで描かれ、生まれ変わった姿を観客へと贈る。
パレットは落ち着いたアースカラーを基本に、モノトーンのスタイリングを提案。時折差し込まれたグリーン、ブルー、レッドと鮮やかな色彩がコレクション全体にリズムをもたらしていた。