展覧会「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」が、京都市京セラ美術館にて、2021年1月23日(土)から4月11日(日)まで開催される。なお、本展の企画・監修は、美術批評家の椹木野衣による。
本展について、企画・監修の椹木は次のように語る──「明治」の美術が近代日本の美術そのものの夜明けであり、「大正」の美術が自我を持った画家たちによる叫びと前衛の勃興であり、「昭和」の美術が第二次世界大戦前後で変容を被り、細かく分岐していったものであったならば、はたして「平成」の美術は、どのような輪郭を有しているのだろうか?
「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」では「平成」の美術を、自然災害や事件、事故、経済危機が多発した時代における、美術家たちの活動の集積と捉える。とりわけ、バブル経済の崩壊と東日本大震災(そしてこれに続く福島原発事故)を念頭に、「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」をキーワードとして、アーティストによる時代と社会状況への応答を探る。
本展は、平成年間の日本の現代美術を総覧する初の大規模展となる。会場では、平成初期に活躍した「テクノクラート」を筆頭に、2020年現在もなお活動を続ける「Chim↑Pom」や「東北画は可能か?」など、平成の14のアーティストグループや集合体を紹介。そこには、関西ニューウェーブを担った「Complesso Plastico」や、これに続く「contact Gonzo」など、関西ゆかりのアーティストも含まれている。
平成の美術の特徴に、ゆるやかな個人の集まり「集合的アーティスト」のグループやプロジェクトによる、多彩な「作品」が挙げられる。本展では、村上隆率いるカイカイキキ主催の大規模プロジェクト「GEISAI」や、梅津庸一が立ち上げた「パープルーム」などが手掛けた映像やインスタレーションも展示する。
椹木はかつて、安定した大地の上にたつ西洋とは異なり、地震といった自然災害に絶えず見舞われて歴史的な蓄積のなされない日本列島を「悪い場所」と規定し、日本の現代美術を論じた。本展では、社会的事件や経済的事象、そして自然災害により揺り動かされてきた大地の上で、平成の美術がどのような変遷をたどってきたのかが大胆に描き出されることになるだろう。
展覧会「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」
会期:2021年1月23日(土)〜4月11日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料:一般 2,000円(1,800円)、大学・専門学校生 1,500円(1,300円)、高校生 1,000円(800円)、小・中学生 500円(300円)、未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※京都市内に在住(通学)の小・中学生は無料
※障害者手帳などの提示者および介護者1名は無料
※内容は変更となる場合あり
企画・監修:椹木野衣
■出展作家
・1989-2001:Complesso Plastico / IDEAL COPY / テクノクラート / DIVINA COMMEDIA
・2001-2011:GEISAI / Chim↑Pom / contact Gonzo / 東北画は可能か? / DOMMUNE
・2011-2019:パープルーム / 突然、目の前がひらけて / クシノテラス / 國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト / 人工知能美学芸術研究会
【問い合わせ先】
京都市京セラ美術館
TEL:075-771-4334