サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)の2021年春夏メンズコレクションが発表された。
ウィメンズと同様に、ヒッチコックの緊迫感に満ちた映画を着想源とした今季のメンズコレクション。その作品のヴィヴィッドな色彩感覚に触発されながらも、鮮やかなコントラストを軽やかな足取りのうちに表現した。
ヒッチコックの『めまい』にインスパイアされた色鮮やかな色彩は、なるほどメンズでも主要なモチーフだ。ステンカラーコートやハニカム状のクルーネックニットにはイエローを、柔らかな質感のシャツやワークテイストのブルゾンにはミントグリーンを、ツイル製のオーバーオールにはオレンジをのせ、力強く爽やかな表情を生んでいる。
しかし、ウェア全体を鮮やかに爽やかに包み込むウィメンズとは異なり、魅惑的な色彩はグレーやブラック、ブラウンといった落ち着きのある色合いのアイテムと組み合わせられる。あるいは、ブラックのロングコートの裏側にオレンジを光らせ、ブラウンのオーバーコートにはイエローで植物や風景の柄を施すなど、いわば対位法を奏でるかのような色彩のコントラストが心地よい。
ふわりと風を孕むかのように、シルエットもまた流麗だ。たとえば、身体に寄り添うかのようにエレガントなラインを描くテーラードジャケットに対し、パンツは幾分太めのシルエットに。裾はシックなブーツにインし、歩みにあわせて軽やかになびくような、変化のあるシルエットにまとめている。