MSGM(エムエスジーエム)の2021-22年秋冬メンズコレクションが発表された。
人の一生は、たびたび山に例えられる。「もっとも高い山は我々の中に存在する」という名言は、イタリアの登山家ウォルター・ボナッティが残した言葉だ。
デザイナーのマッシモ・ジョルジェッティが、シーズンテーマに掲げたのは、強い戸惑いや、混乱状態を意味する「VERTIGINE」。大きなうねりの中にある今の時代を“吹雪が轟き渡る山”になぞらえ、想像を膨らませた。激しく吹く風、降りしきる雪に打たれた人々は、寒さに凍え、全身が麻痺し、くらくらとした眩暈を引き起こしているかもしれない。しかし、過去の登山家たちの栄光が指し示してくれているように、険しい道のりの先には、美しい景色が広がる頂があるのではないか。
今季のコレクションのベースにあるのは、そんな登山家たちが紡いできた冒険心や、雪山でのアドベンチャー、人間が自然に対して抱く情熱だ。
アイテムは、機能的なマウンテンパーカーや防寒性に優れたオーバーサイズのダウンジャケット、中綿入りパンツなど、アウトドアウェア&スポーツウェアからインスパイアされたものがメイン。イタリアのトレッキング・クライミング用フットウェアブランド「スカルパ(SCARPA)」とのコラボレーションシューズや、「カンゴール(KANGOL)」とタッグを組んだバケットハットもある。
ウィンタースポーツや雪山を彷彿とさせるアイキャッチーなモチーフも。厚手のコットンシャツには、1930年代のスキーリゾートを彷彿とさせる絵葉書のようなイラストを配して。デニムパンツには、そびえたつモンブランのシルエットを落とし込んだ。鮮やかなカラーリングのプリントシャツには、氷河の反射光や石の質感を再現している。
アウトドア&スポーツウェアをベースとしたコレクションを、モダンな印象に導いているのが、クラシカルなテイスト。ツイードのジャケットやケーブルニット、ジャカードのフリースなど、どこかレトロなムードの漂うアイテムを、MSGMが得意とするストリートテイストとミックスアンドマッチさせることで、新鮮なムードに仕上げた。