トーガ(TOGA) 2021-22年秋冬コレクションは、画家・五木田智央のアーカイブ作品を起用したアーティスティックなムード。“SIMPLIFY, EXPAND, FLATTEN”をテーマに、既成概念の技巧にとらわれないデザインやシルエットへと挑戦する。
五木田智央は、60〜70年代アメリカのアンダーグラウンドのカルチャーに影響を受けた絵画で、根強い人気を集める日本人画家だ。過去にもトーガとコラボレーションを実現するなど、ブランドと縁の深いアーティストとしても知られている。
今季は、そんな五木田のアーカイブ作品をモチーフに、秋冬らしい温かなニットやジャカードで表現したカプセルコレクションを発表。作画と連動したモノクロカラーを基調にしながら、明るいイエローやオレンジを差し色に加えているのが特徴だ。
五木田のアートモチーフと共にインパクトを与えるのは、ハッと目を惹く造形的なシルエットだ。‟円形の袖”を持つローズ柄のセーターや、花びらのようなひだを立体的に重ねたスカートといった、ボリューミーなワードローブは、五木田のキャンバスにみえる線やシルエットから着想したもの。また女性を被写体に捉えたアート作品入りのアウターは、それ自体がアートであるかのように、絵画の‟キャンバス”を連想させる長方形のフォルムで登場する。
こうしたアーティスティックなピースと並んで、秋冬に欠かせないアウター群も豊富なバリエーションで展開される。例えばパッカブル仕様の黒のダウンコートは、エレガントなAラインに仕上げることで、ドレッシーな表情に引き寄せた一着。またファスナーでフォルムをアレンジできるなど、こだわりの仕掛けも施されている。
秋冬のアウター群に個性をプラスさせる、ユニークな装飾も印象的だった。白いジャケットにはシリコン製のドットと羽の装飾を、大きなスリーブの明るいイエローのコートは、ゆさゆさと揺れるほどの毛足の長いフェザーを、たっぷりとあしらっている。
温もりが伝わる肉厚なロングコートには、白の網タイツ×フットウェアで抜け感を加えて。腰元をキュッと絞るウエストポーチの中心には、五木田の描く‟猫”が怪訝そうにこちらを見つめている。