エルメス(HERMÈS)銀座店内の銀座メゾンエルメス フォーラムでは、マチュウ・コプランによる展覧会「エキシビジョン・カッティングス(Exhibition Cuttings)」を、2021年7月31日(土)まで開催する。なお、当初は7月18日(日)までの会期を予定していたが、延長となった。
マチュウ・コプランは、ロンドンを拠点に活動するするフランス/イギリス人キュレーターだ。2003年より、展覧会という場を用いながらもその伝統的な役割や枠組みを揺らがせることを試み、新たな展覧会の体験や知覚を提案する実践を展開してきた。
たとえば、2009年にパリとベルンで開催された共同キュレーション展「Voids, A Retrospective(空虚、回顧展)」では、ギャラリー空間を“空っぽ”にすることを試みた歴代の展覧会を回顧した。通常は作品を見るために足を運ぶ展覧会を、“完全なる空虚(無)”を体験する場として提示したコプランの試みは、大きな議論を呼んだ。
本展「エキシビジョン・カッティングス」は、マチュウ・コプランによる日本初の展覧会だ。ここで「カッティング」とは2つの意味を持つ。ひとつは植物の「挿し木・接ぎ木」。生命体が他の場所に移され、自らとは異質な存在と交わって生態系を織りなすことを指す。そしてもうひとつは、文字通りに「切る」の意味であり、こちらは過去の展示の要素を切り抜き、編集するコプランの制作手法にほかならない。
挿し木や切り抜き・編集という「カッティング」の2つの意味に呼応するようにして、本展は2つの空間から構成される。
一方では「挿し木・接ぎ木」を参照し、音に満たされた空間を展開。音を主軸に美術活動を行う西原尚らとともに構築された空間には、中央に植物が設置され、ミニマル・ミュージックの巨匠フィル・ニブロックによる書き下ろしの音楽と、ガラスの窓から差しこむ自然光が入り交じる。
他方で、スイス生まれのアーティスト、フィリップ・デクローザの絵画で始まるもうひとつの空間では、コプランが2016年に単独でキュレートした展覧会「A Retrospective of Closed Exhibitions(閉鎖された展覧会の回顧展)」を、ドキュメンタリー映像作品を通して再訪。同展は、アーティストが芸術行為として、あるいは自らの決断により閉鎖した歴代の展示を取り上げたものだ。ここでは、アートや展示空間における制度の限界や議論、そして展覧会の閉鎖をめぐる現在的な意味を再考することになる。
「エキシビジョン・カッティングス」マチュウ・コプランによる展覧会
会期:2021年4月23日(金)〜7月31日(土)
※4月25日(日)〜5月15日(土)、5月23日(日)〜6月1日(火)、7月19日(月)は臨時休館
※当初は7月18日(日)までの会期を予定していたが延長
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
開館時間:11:00〜19:00(最終入場は18:30)
休館日:不定休(エルメス銀座店の営業に準ずる)
※開館日と開館時間についての最新情報はウェブサイトを確認
入場料:無料
【問い合わせ先】
TEL:03-3569-3300