世界中のアーティストに支持されるドイツの小さな出版社シュタイデルと、その創設者ゲルハルト・シュタイデル(Gerhard Steidl)の秘密にせまるドキュメンタリー映画「世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―」が、2013年9月21日(土)より、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国の劇場で公開される。
ゲルハルトが創設した出版社シュタイデルでは、デザインから製本までをすべて自社で行うという徹底主義を貫く。クライアントは、ノーベル文学賞を受賞した小説家ギュンター・グラスや、アメリカを代表する写真家ロバート・フランク、カリスマデザイナーカール・ラガーフェルドなど、世界の一流アーティストたち。
ゲルハルトは、本作りのために世界中を飛び回り、アーティストたちと直接意見を交わす。掲載する作品の選定から、サイズ、レイアウト、紙質はもちろん、ページをめくる音やインクの匂いにまでこだわることで生まれる”世界一美しい本”は、世界中にコレクターを生む。
監督は、「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」などで知られるゲレオン・ヴェツェル。劇中には、カール・ラガーフェルド、ロバート・フランク、マーティン・パー、エド・ルシェらが登場する。本・芸術・仕事への愛情に満ちた、”天才たちに愛される男”ゲルハルト・シュテイデルの世界に迫る情熱のドキュメンタリー。
「ページをめくる音や香り、その全てが本の要素なのです」
ーーゲルハルト・シュタイデル
【プロフィール】
ゲルハルト・シュタイデル
1950年生まれ。67年にデザイナー、出版者としてのキャリアをスタートさせる。68年にケルンで開催されたアンディ・ウォーホルの展覧会で強烈な色使いに魅了され、芸術家の印刷技術についてウォーホルと直接話しをする。同年、地元のゲッティンゲンでシュタイデル社と印刷所を創設。現在も独立した私有会社として存続する。創設後、芸術家のヨーゼフ・ボイス、クラウス・シュテークの版画やポスターの制作し、72年には初となるアートブック「Befragung der Documenta」を手掛ける。また74年に政治に関する文書の制作も業務に加え、80年代初期には文学や厳選された芸術や写真の作品を制作する。96年からは世界に向けて写真集を出版し始め、原稿の作成から設定、レイアウト、プリプレス、そして印刷までを一貫して行う。作業は最初の段階から出来る限り、閉鎖的な体制の「内部」でのみ行われ、このような「総合的」なアプローチは他社では見られない特徴である。ドイツ国内では、シュタイデル社は文学作品の製本で数十年前から広く知られているが、最も有名な作家はノーベル賞受賞者のギュンター・グラス。同じくノーベル賞受賞者であるアイスランド作家のハルドル・ラクスネスの作品ほか、社会学者のオスカー・ネークトの執筆物を手掛けるなど、英文学やドイツ文学にも力を入れている。いまではシュタイデル社は一流の写真集の制作で、世界中にその名を知られており、制作依頼主は一流の写真家や主要な美術館が多い。
【映画概要】
世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―
公開日:2013年9月21日(土)
監督:ゲレオン・ヴェツェル&ヨルグ・アドルフ
出演:ゲルハルト・シュタイデル、ギュンター・グラス、カール・ラガーフェルド、ロバート・フランク、ジョエル・スタンフィールドほか
原題:「How to make a book with STEIDL」/2010年/ドイツ
WEBサイト:http://steidl-movie.com