ノルウェーのドキュメンタリー映画『ただ、愛を選ぶこと』が、2025年4月にシネスイッチ銀座ほか全国順次公開される。
映画『ただ、愛を選ぶこと』は、北欧ノルウェーの美しい森で暮らすペイン一家の、ささやかながら勇気のある3年間の歩みを追うドキュメンタリー作品だ。製作の出発点となったのは、一家の母親であり、写真家のマリアがインターネットで発信していたシンプルかつ愛にあふれた暮らし。自給自足で生活を送り、子どもたちは学校へ通うかわりに両親から学びのびのびと成長している。
マリアが家族との日々を撮影した写真や、マリアの綴る言葉に魅了された監督のシルエ・エヴェンスモ・ヤコブセンは、ドキュメンタリー番組を企画する。しかし、番組が実現するよりも前にマリアはこの世を去ってしまった。家族の中心的存在だった母が病死したことにより、家族の暮らしは一変。唯一父と血のつながりがない長女は家を去り、父は3人の実子との暮らしを守ろうとするが家計や教育の問題など、さまざまな現実の壁に直面するのだった。
監督のヤコブセンは、マリア亡き後も彼女のメッセージをより多くに人に伝えるため、ペイン一家の父ニックと、末っ子のウルヴ、長男ファルク、次女フレイア、長女ロンニャといった子ども4人の撮影を開始。彼らがマリアの死に向き合い、前に進んでいく姿を1人1人に寄り添いながら記録した。初めて通う学校、なじみのない土地での新生活、そして最愛の母の不在。遺された家族がそれぞれ何を思い、何を選択するのか。深い悲しみ、そして喪失から再生していく家族の姿を目にすることができる。
見所となるのは、マリアが生前遺した、家族や自然への愛に満ちた詩的な文章と写真。第三者である監督の視点と母マリアの視点が交差し、現在と過去がゆるやかに行き来するユニークな構成でペイン一家の生き様を映す。
なお、映画『ただ、愛を選ぶこと』は2024年の第40回サンダンス国際映画祭にてワールドシネマ・ドキュメンタリー部門のグランプリ、審査員大賞を受賞。その他にも、国際的な映画賞を多数受賞しており、注目を集めている。
【作品詳細】
映画『ただ、愛を選ぶこと』
公開時期:2025年4月
監督:シルエ・エヴェンスモ・ヤコブセン
出演:ニック・ペイン、ロンニャ、フレイア、ファルク、ウルヴ、マリア・グロース・ヴァトネ
英題:A NEW KIND OF WILDERNESS
原題:Ukjent landskap