展覧会「はこぶ浮世絵 ─クルマ・船・鉄道」が、東京の太田記念美術館にて、2022年10月1日(土)から10月26日(水)まで開催される。
人間の日々の生活に、「運ぶ」という行為は欠くことができない。江戸時代の日本には、人や馬、船などを用いた、さまざまな輸送の仕組みが存在していた。展覧会「はこぶ浮世絵 ─クルマ・船・鉄道」では、江戸時代から明治時代にかけての「輸送」に着目して、浮世絵作品約65点を紹介する。
江戸は「水の都」であった。江戸湾や隅田川などの水辺に囲まれ、街中には水路が張り巡らされていたこの都市では、舟運が江戸の人びとの暮らしを支えるとともに、江戸と諸国を結ぶ海運も盛んであった。一方、陸路では東海道をはじめとする街道が整備され、物流ばかりでなく、庶民のあいだでも盛んとなった遠方への旅のルートにも用いられていた。
本展では、葛飾北斎や歌川広重、鈴木春信などの浮世絵を、「運ぶ」という視点から展示。料亭で料理を運ぶ人や街頭で商品を売り歩く人、旅の荷物を持ち運ぶ人など、「物を運ぶ人の姿」に注目するとともに、川を渡す渡し船や、タクシー代わりにもなった舟運、宿場間をリレー形式で繋いだ人馬継立(じんばつぎたて)など、江戸時代におけるさまざまな輸送の様子と人びとの暮らしぶりを紹介する。
明治時代に入った日本には、ヨーロッパからもたらされた新しい輸送手段が導入されてゆくことになる。1872年(明治5)には、新橋と横浜を結ぶ鉄道が正式に開業、2022年はそれからちょうど150周年の節目にあたっている。当時の浮世絵師たちは、実際に鉄道が開通する2年ほど前から、時に想像も交えつつ鉄道の姿を描いており、そこから新しいインフラに対する熱気を見てとることができる。
会場では、昇斎一景《高輪鉄道蒸気車之全図》や小林清親《高輪牛町朧月景》など、鉄道を描いた浮世絵を紹介。さらに鉄道ばかりでなく、馬車や人力車、船、そして気球まで、さまざまな乗り物が描かれた浮世絵を目にすることができる。
展覧会「はこぶ浮世絵 ─クルマ・船・鉄道」
会期:2022年10月1日(土)〜10月26日(水)
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
開館時間:10:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:10月3日(月)・11日(火)・17日(月)・24日(月)
入場料:一般 800円、大高生 600円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)